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米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)は、5歳以下の小児のう蝕予防に関する勧告を10年ぶりに改訂した。前回(2004年)の勧告で示されていた生後6カ月からのフッ化物使用(oral fluoride supplementation)の他、今回、乳歯へのフッ化物塗布(fluoride varnish)に関する勧告が加わった。
今回の勧告では5歳未満の小児のう蝕予防として①生後6カ月時点で水道水へのフッ化物添加が行われていない地域にいる場合はフッ化物の口腔内使用を指導する(グレードB)、②全ての乳幼児に対し、乳歯萌出の時点から乳歯へのフッ化物塗布を行う(グレードB)―ことが示された。②については、最近カナダやオーストラリア、米国で実施された相当程度に質の高い研究から水道水へのフッ化物添加の有無に違いはあるものの、5歳未満の小児へのフッ化物局所塗布によるう蝕リスク減少が見られたことを紹介している。
一方、「定期的な歯科検診」については「(う蝕予防に対する)エビデンス不十分(グレードI)のため勧告なし」とされ、2004年の勧告が据え置かれた。
勧告の背景についてUSPSTFは「う蝕の危険因子は経済状況,糖分やスナックの摂取過多、不適切な哺乳瓶使用や進行性のエナメル質損失や歯科へのアクセスが不便、フッ化物添加の歯磨き粉などの予防策を講じていないなど多数あるが、う蝕高リスク児を包括的にスクリーニングできる評価された手法が存在しない」と説明している。
なお、勧告には反映されなかったが,その他の予防策としては2013年4月から地域予防サービス特別委員会(community preventive service task force)がう蝕予防を目的とした学校でのデンタルシーラント実施プログラムを勧告していることを紹介。また、キシリトールについてはう蝕予防のリスクを減少させる効果が期待されているが、現時点で正式な勧告として反映できるエビデンスが存在しないと述べられている。
米国では多くの医学・保健または歯科関連団体がう蝕予防に関するさまざまな勧告を発表している。
今回の勧告で紹介されている情報では,米国小児科学会(AAP)は小児科医に対し、全ての小児に生後6カ月で口腔内の健康状態を確認することや、1歳までの歯科医受診などを求めることなどを勧告。フッ素塗布に関しては「アットリスク児」に使用することを支持している。また、米国歯科医師会(ADA)は、最初の乳歯萌出から6カ月以内、遅くとも1歳までに歯科医を受診することの他、う蝕予防のリスクが「中等度~高い」児に対し定期的なフッ素塗布などを推奨している。米疾病管理センター(CDC)は2歳以下でう蝕高リスク、かつ水道水へのフッ化物添加が行われてない地域に住んでいる場合は歯科医にフッ化物使用の指導を受けるよう推奨する一方、局所塗布などによる高濃度のフッ化物使用については限定的な勧告を示している。
(MT Pro 2014年5月12日より転載)
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