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植物由来の化合物に齲蝕予防効果

甘草(カンゾウ)の根に見られる化学物質に似た天然化合物は、口腔内バクテリアがバイオフィルムを形成するのを防ぎ、それにより虫歯予防の助けになる。(Photograph: palomadelosrios/Shutterstock)

英・エディンバラ:エディンバラ大学の研究者らは、カンゾウの根に見られる天然化合物が虫歯を予防する助けになるかもしれないことを示した。その植物生成物は有害な口腔内バクテリアに対し逆らって作用するため、口腔ケア製品に付加されてプラークの形成を防げば、口腔衛生を向上させることができるだろうと研究者らは述べている。

 カンゾウの根に見られる化合物に似ている生体化合物は、トランスカルコンとして知られているが、今回の英国での研究により、バクテリアが口腔内で成長するのを可能にする重要な酵素の作用をトランスカルコンが阻むことがわかった。

 ミュータンス菌は食物と飲料を代謝し、酸性度を低下させてプラーク形成を引き起こすが、歯の衛生状態が悪ければ、プラークと口腔内酸の組み合わせは時として虫歯に結びつく。

 研究者らは、酵素の活動をブロックすると、バクテリアが周囲に菌膜(バイオフィルム)を構築するのを防ぐことを見出した。バクテリアが歯に付着しバイオフィルムを構築すると、プラークが形成される。これらの膜の集合を防ぐことが、バクテリアがプラークを形成するのを阻止する助けになるだろうと研究チームは述べている。

 研究チームは、バクテリアのバイオフィルム形成を可能にするSortase Aと呼ばれる酵素の3D構造を分析することにより、トランスカルコンが酵素の機能をどのように妨げるかを識別することができた。

 彼らの研究は、バクテリアがバイオフィルムを形成するのをトランスカルコンがどのように妨げるかを初めて示したもので、同様の天然化合物を含む口腔ケア製品があれば、歯科衛生改善の助けになるだろうと述べている。「この素晴らしい発見は、食物由来の天然物とヘルスケア技術の可能性を物語るものだ」、と研究を指揮したエディンバラ大学化学部のDr Dominic Campopianoは強調する。

 「トランスカルコンが試験管内でSortase Aを抑制し、ミュータンス菌のバイオフィルム形成を阻止したのを発見して我々は大いに喜んだ。同様の天然物を含有するものへ研究を拡張しており、それらを消費者製品に組み入れられるどうかを調査中だ」とCampopianoは述べている。

 “Molecular basis of Streptococcus mutans Sortase A inhibition by the flavonoid natural product trans-chalcone(フラボノイド天然物トランスカルコンによるミュータンス菌Sortase A阻害の分子的機序)"というタイトルのこの研究は5月18日、Chemical Communications誌オンライン版に掲載された。

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