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All-ceramicsの繁栄-Ivoclar Vivadent社 将来へ向けた準備

ジョセフ・リッチャー氏 (左) クリスチャン・ブルッツァー氏(右) (Photo by DTI Daniel Zimmermann)

 リヒテンシュタイン公国,シャーン: レティコン山脈とアッペンツェルアルプスの雄大な山々に囲まれた場所で,絶え間なく働き続ける工業用油圧ミキサー。時折,Ivoclar Vivadent社の社員がIPS e.maxブロックの原材料が入った樽を持ち運ぶ姿が見られる―。

 7年前に歯科市場で発売以降,歯科修復システムを一変させたIvoclar Vivadent社。高度なオールセラミックス技術で審美歯科修復材料を提供する会社として,ヨーロッパのリヒテンシュタイン公国から広く国際的に評価されるようになった。

 二ケイ酸リチウムガラスセラミックスや酸化ジルコニウムを含有してプレスにより作製するCAD/CAM用のセラミックスべニアは,今年6月に米国シアトルで行われた “the American Academy of Cosmetic Dentistry” の年次総会でにおいて,非常に優れたイノベーションとして優秀賞を受賞,審美歯科の素晴らしい臨床功績だと賞賛された。

 昨年2ケタ成長を遂げたその製品の成分は,固く機密が守られ,会社の成功を支える大きな要因となっている。同社は昨年初めて,そのシステムと治療法に焦点を当てた国際シンポジウムをドイツで開催した。同社販売責任者ジョセフ・リッチャー氏は「歯科医師は日々の練習によって一定の基準に達することができる。そのシステムはまだたくさんの可能性を秘めている」と言う。

 「我々は,IPS e.maxによって補綴分野の革命を起こしたと言える。1本の歯の修復だけではなく,ブリッジのような複雑な修復にも適応し,高い審美性と耐久性を維持している。さらには,補綴物の代表格と市場に認知されたことに加え,可撤式補綴物や充填材を含めた製品ラインでは,昨年の平均市場を上回り,南ヨーロッパなど経済危機の影響を受けた地域での活動でより困難で不利な条件であったにもかかわらず,臨床機器やMultilink Automix,Vario link IIのような接着材の売上高は10%以上も増加した」と同氏は言う。

 さらに,「我々の多くの支店の市場報告によると,懸念点として,現在,歯科医院を訪れる患者は来院すべき潜在数より少ないとみられ,2013年は業界にとって厳しい年になると予想している。しかしながら,市場がわずかにでも成長しているのであれば,拡大はまだまだ可能である。我々の中核事業とイノベーションに牽引され,来年,我々のゴールは市場平均よりも上回るはずである」と同氏は予測している。

 同社は今年,ナノハイブリッドコンポジット製品を発展させた“Tetric EvoCeramBulk Fill”に乗り出した。製品発表では,充填材が届きにくい臼歯部修復に使用する強力な開始剤となるように設計したと紹介した。また,BioUniversal KFG,低融点特殊セラミックに適応したテレスコープクラウン技術,ミリングのための高膨張ユニバーサル鋳造なども紹介された。

 IPS e.max はCAD領域も拡大し,ライトベニア,ハイブリッドアバットメント,3本以上のブリッジなど,現在想定されるすべての適応症をカバーしている。同社は提供する広範な製品から,顧客自身で治療法を簡単に選択できるように,製品ラインナップをダイレクト修復材,固定式補綴物,可撤式補綴物の3つのカテゴリに設計しなおした。

 さらに同社は最近,リヒテンシュタイン公国にある本社拡張のため新しいビルに1600万ポンドをかけ,そのインフラに多額の投資を行った。それは倉庫容量の増加と,臨床条件の下で最新の研究開発が定期的にテストできるように高性能な歯科施設の増設を意図している。さらに,オーストリアBurs近郊の製造工場では,アメリカのバッファロー近郊のアマーストの拡張と同様,LED光照射器などの歯科用機器を生産をはじめた。既に120か国に拠点を置く同社は,さらなる拡大を目指して,新たな営業所と子会社をロシアやウクライナ,他の国々に置くことを計画している。

 「数年前,我々は新興市場をターゲットにすることに決めた。それが今や,ヨーロッパや北米のすでに確立した地域のように,流行の最先端の創造を補うまでの成長を見せている。たとえば,インドにおいて,我々は2009年にはわずか10人であったが,今や80人にまで増員した」とアジア太平洋地域のヘッドであるクリスチャン・ブルッツアー氏は言う。

 また,「増設した現地拠点を重視することは,これらの地域の成長を促進するだけでなく,その地域での会社の認知度を劇的に変えた。独自の基準に基づいた教育は,長期的発展の重要な要因であり,歯科教育を行うためのインターナショナルトレーニングセンターの設立を通じ,顧客と関係構築を見つける重要な概念でもある。このトレーニングセンターでは,講義と実践コースを通じ,既存顧客,さらには,将来の顧客にトレーニングを提供することを意図している。現在,同社はシャーンにある最大施設をはじめ,世界中にこのような施設を25か所保有している。これらのトレーニングセンターは世界中から訪れる科学者や技術者に昼夜占有されている状態である。」と続けた。

 リッチャー氏は,「現在,すべての子会社と営業所で複数のトレーニングフォームを提供している。この市場には,教育に多額の投資をする会社は他にない」と言う。

 また,「歯科市場において利用可能なソリューションが増えることは,何が正しいか見極める上においても,多くの顧客の間で混乱を招いている。したがって,顧客が我々から製品を購入することで,基本的にメリットが得られるということを理解してほしい。この点では,我々は顧客の不安を取り除き,自信を持って製品提供ができるよい機会を得たと言える」と続けた。

“この市場には,教育に多額の投資をする会社は他にはない” 

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