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日本口腔インプラント学会は9月14日(金)~16日(日)に、第48回学術大会を大阪で開催します。メインテーマは昨年に引き続き「インプラント治療が拓く未来」、サブテーマは「超高齢社会に対する責任」です。歯科系学会最大の同学会がリーダーシップをとり、イノベーションを起こしたいと、今大会では「大阪宣言」を発信。そこで、大会長の馬場俊輔先生に大阪宣言への想いや、大会の見どころについてお伺いしました。
第48回大会で発信する「大阪宣言」への想い
昨年の仙台大会は、インプラント治療により、しっかりと咀嚼することができるようになることで、結果的に健康寿命の延伸にインプラント治療が寄与していることを検証した学会でした。参加者には、噛めるようになる補綴治療は、単なる歯科治療にとどまらず、全身への影響を再認識してもらえたと思います。
しかし、どれだけインプラント治療が寄与したとしても、生命には限りがあるため、いつかは健康寿命の終焉がやってきます。そこで今回は、そのときにインプラントはそのままでいいのか、加療した方がいいのかを考える大会にしたいと考えています。
例えば、高齢になって介護施設に入所された場合、施設のスタッフや訪問歯科医も、インプラントが入っていることに気が付かずに、口腔ケアを施行しているという現状があります。ほとんどの場合、インプラント手術をした歯科医と、介護施設のかかりつけ歯科医は異なります。そのため、施設のかかりつけ歯科医や歯科衛生士などのスタッフは、入所者の口腔内に何が入っているか分からない状況で、口腔ケアを行うことになります。これが一番の問題点なのです。
こうした問題の解決を図っていくためには、介護施設とインプラント手術をした歯科医院と連携を図るなど、今後の健康長寿社会に向かって、我々の学会がリーダーシップをとっていく必要があります。特に今年6月から、宮崎理事長の下に新たな執行部になり、そのスタートとして「大阪宣言」を発信しました。
大阪宣言の内容は、学術大会を通して超高齢社会に対しその責任を自覚し、健康長寿社会の実現に向けて広く国民、患者の声に耳を傾けながら、歯科医療従事者のみならず、多職種連携・協働を強化し、多彩な視点を取り入れていくことです。
今後は、ライフステージに応じた治療システムを確立するとともに、口腔機能の継続的管理を目的とした治療指針を策定していくことにより、会員数1万5,000人以上という歯科系最大の学会として、歯科医療のイノベーションを起こすことを宣言するものです。
歯科臨床研究の研究者にコンプライアンスと倫理の啓発を
大会のプログラムには、企画講演として「超高齢社会への責任、患者に寄り添う歯科治療を目指して」と題した講演を予定。またシンポジウムでは、「インプラントと天然歯の調和・長期保存を目指して」、「インプラント治療高齢患者に対する外科的対応基準」など、多くは超高齢社会のインプラント治療についてのセッションです。
このように、まずは大会に参加された方に、超高齢社会におけるインプラント治療の現状を知っていただくとともに、今後、どのような解決策があるかを模索してもらい、インプラント治療が国民の信頼を得られる存在について検証する大会にしたいと考えています。
もう一つ、歯科系最大学会である本学会がリーダーシップを発揮しなければならない課題として、臨床研究におけるコンプライアンスと倫理の問題があります。
毎年のように法律は改正され、新しい法律が作られます。例えば個人情報保護法や臨床研究法など、特に倫理に関する法律はどんどん基準が改正されているのが現状です。これに対し本学会では、ホームページを通し開業医の先生に向けて、歯科医療や臨床研究に関係する新しい法律について、分かりやすくアナウンスをしています。
また、前の渡邉理事長の時代から、倫理審査を徹底し、法令遵守の周知徹底を図ってきました。学術大会は臨床報告だけでなく、臨床研究の発表の場でもあります。臨床研究に関しては倫理審査申請をしてもらい、倫理審査委員会で審査を行うことがようやく浸透してきました。臨床医による臨床研究においては、患者さんの尊厳を守るための知識やコンプライアンス、倫理の啓発を行うことについても、歯科界の中で本学会がリーダーシップを取っていこうと考えています。
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