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日本歯科インプラント器材協議会が第2回メディアセミナーを開催

日本口腔インプラント学会理事 矢島安朝氏による講演(photo by DTJ)

月. 17 3月 2014

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日本歯科インプラント器材協議会(以下、JADIS/会長 黒田和彦氏)は、2014年3月18日、東京・千代田区の株式会社白鵬 東京研修センターにおいて、同協議会として2回目となるメディアセミナーを開催した。今回の演者である日本口腔インプラント学会理事の矢島安朝氏(日本歯科大学水道橋病院長、口腔インプラント学講座教授)が「インプラント報道、その後~メディアの誤解、患者さんの誤解、歯科医師の誤解~今さら聞けないインプラントのことシリーズ第二弾」を講演し、インプラントに関わるトラブルが相次いだことへの大学教育の見直し、また、日本口腔インプラント学会としての対策について述べた。 

 日本では、2012年頃よりインプラント治療におけるネガティブな報道が活発になり、インプラント治療そのものの社会的評価が著しく低下している。実際に歯科医師の4人に1人は重篤な偶発症の経験があり、手術関連のトラブルでは神経損傷が最も多かったというアンケート調査がある(2012年6月25日 日本歯科医師会調べ)。その要因には、歯科医師の需要バランスの悪化、標準的治療法の普及の遅れ、歯科医療従事者への教育不足、さらに、安さ早さにつられる患者のリテラシー不足などが挙げられている。

 これらに対し、同氏は「日本口腔インプラント学会では、“口腔インプラント治療方針(2012年版)”を作成した。インプラント治療のリスクファクターには、全身疾患、それらを把握する検査が必要であること、さらに、インプラント治療を契機に全身的偶発症などあらたな疾患を生むリスクがあることもまとめている」と説明した。

 また、歯科医療従事者の教育不足については、「コンセンサスのある治療法であっても、患者の持病や口腔内の状態を把握した上で、自分で施術可能かその判断を誤らないこと」、大学教育においては、「歯科医師の国家試験は約360題あるうち、インプラント治療からの出題は2~4問と少なく教育時間をかけてこなかった一方で、臨床では需要が高かったことを大学側では考えてこなかった。2012年度から、講義と実習時間を増やし、同学会が作成中のインプラント実習用模型とインプラントシステムが6月に完成、9月の学術大会で公開予定で、それらで歯学生の実習を行う。すでに数校では試験的に実施されている」とした。また、「学生時代に失敗しておくことが必要で、あえて骨吸収が著しい下顎骨モデルを用いた実習を取り入れた。インプラント体が貫通してしまう医療事故を体験させ、グループで討論し、医療解剖学、緊急時の対応、医療安全・医療倫理を再確認するようにした」と説明した。

 患者の誤解としては、「同学会では、“難症例でも必ず成功”“1日ですべての治療が終了”“日本有数の実績”“〇〇学会認定医、〇〇学会認定施設”といった、歯科医院のHPなどによる行き過ぎたPR、有資格の虚偽記載のチェックを開始した。患者に対しても、インプラント治療は“一生使えない人もいること”“きれいに、天然歯のように治るとは限らないこと”“よく咬めてしまうことにリスクがあること”“すぐ咬める方法はリスクを伴うこと”など、過度の期待を持たせないことも必要」と示した。さらに、歯科医師の誤解として、「インプラント治療は機能的、審美的に優れていても、オッセオインテグレーション=病態であり、機能的に優れた病態」と説明した。

 メディアの誤解においては、「インプラント治療のトラブルが相次いだことは事実であるが、一方で患者のQOL向上に役立っていることも事実である。残存歯数が減ることによる咀嚼機能不全が認知症や身体機能低下のリスクを高めることもエビデンスとしてある。インプラント治療による、歯科医療による国民の健康増進のためにも、偏りのない情報を与え、患者自らが決定できる材料を提供して欲しい」と強調した。

 今回は第二回メディアセミナーということで一般紙・誌を交え20人ほどが参加した。歯科医療従事者、歯科医療メーカー、学会、大学だけでなく、国民にも安価で質の高い医療は受けられないこと、健康増進への「正しい認識・判断力」が求められている。

【関連サイト】
日本歯科インプラント器材協議会(公式サイト)
日本口腔インプラント学会(公式サイト) 

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