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歯科学生の研究意欲向上と歯科医療の高度な発展に貢献するSCRP

小林 慶太 松葉デンタルクリニック 院長 公益社団法人日本歯科医師会 常務理事 (こばやし・けいた)1983年、東京歯科大学歯学部卒業。同年、東京歯科大学歯科補綴学第1講座助手。1987年、千葉県柏市で松葉デンタルクリニックを開院。日本歯科医師会学術・生涯研修委員会委員、委員長を経て、2015年より日本歯科医師会常務理事(学術・国際渉外担当)、日本歯科医学会常任理事、日本歯科医学会連合理事を務める。
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水. 12 9月 2018

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1959年、アメリカで始まったSCRP(スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム)。日本でも日本歯科医師会の主催により、1995年、第1回日本代表選抜大会が4校の参加でスタートしました。今では全国29校の歯科大学・歯学部が本プログラムに参画するなど、オール日本で取り組む歯科学生のための重要なプログラムになっています。そこで日本歯科医師会の小林慶太先生に、SCRPの歴史や日本代表選抜大会について伺いました。

SCRPの歴史と日本の活動内容

SCRPは米国歯科医師会(ADA)が、創立100周年を迎えるにあたり、デンツプライ インターナショナル インク(現:デンツプライシロナ インク)に対し、歯科学生による研究の実践発表という記念企画の講演を依頼したことに端を発します。約60年後の現在、この活動は世界5大陸からの参加者を加えて開催され、2018年より発表の場をADA年次大会から国際歯科研究学会米国部会(AADR)に移しています。今年の3月に開催されたAADR学術大会(米国フォートローダーデール)では、昨年のSCRP日本代表選抜大会優勝者の発表が行われました。

日本の参加は1995年からで、当初はわずか4校でした。ところが2009年1月、文部科学省の歯学教育の改善・充実に関する第1次報告に、「学部教育の初期の段階から、こうした研究マインドの育成に取り組むことが求められている」と記されて以降、歯学系大学でSCRPを教育プログラムとして活用する機運が一気に高まりました。その結果、現在では全国29校の歯科大学・歯学部がこのプログラムに参画しています。

 

今年も8月に日本代表選抜大会を開催

8月に開催される今年の日本代表選抜大会では、29校中26校の参加が予定されています。優勝学生は日本代表として来年6月にカナダのバンクーバーで開催予定のAADR学術大会に派遣され、世界の代表者の前で発表します。

この選抜大会は、英語によるポスター形式による発表で審査されます。審査時は臨床部門と基礎研究部門に分かれて行っていますが、最近は臨床研究に関する制約が多くなっているため、学生としては取り組みやすい基礎研究の発表が多い傾向がみられます。

また、SCRP大会に参加した各大学の代表学生は、世界的同窓会SCADAに入会する仕組みがあり、日本支部として公認されたSCADA-Japanが結成されていて、その会員も現在400名を超えました。卒業後の進路は臨床医、基礎研究者、教育など多岐にわたっており、歯科医療の発展に貢献しています。過去の受賞者では、2008年度SCRP大会にて準優秀賞の眞島いづみさんは、その後、非常に権威のある日本学術振興会育志賞を受賞しています。

このようにSCRPは、日本歯科医師会、全国29校の歯科大学・歯学部、デンツプライシロナの後援により、歯科界の人材育成プログラムとして、ユニークな発展を続けています。

日本歯科医師会の村岡宜明専務理事(右)から、第24回SCRPの優勝者、北海道大学の阿部未来さん(左)に、優勝トロフィーが手渡された。阿部さんは来年6月に開催されるAADR学術大会に派遣され、日本代表として発表する予定だ

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