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歯根由来の人工角膜で視力回復

歯根部利用人工角膜移植術(Osteo-odonto-keratoprosthesis)は歯を目に入れる(tooth-in-eye)手術としても知られている。(Image: Alila Medical Media)

独・デュッセルドルフ:失明やその他の視覚障害の最も一般的な原因は、感染症や損傷、炎症による角膜の混濁である。混濁により、目に入る光が不十分となり視力が低下する。非常に特殊なケースでの視力の回復のために、デュッセルドルフの歯科医師と医師らは歯根から作られた人工角膜片を使用した。

  この珍しい歯根角膜(歯根部利用人工角膜)は主に、無損傷の網膜および視神経を有し、従来の角膜移植があまり有望ではない重度の視覚障害や失明した患者に用いられる。

  処置中、患者の歯の1本が、歯根と接する骨の一部と共に抜かれる。歯冠を除去したあと、歯根と骨の薄い層を縦方向にスライスし、中心穴を開けてその穴にプレキシグラス製光学シリンダーを合わせる。処置の最終段階では、その人工器官を角膜へ縫合し、口腔粘膜で覆う。「人工角膜インプラントでの課題は、インプラントが長期にわたり体内で統合されるように、非生物学的材料と身体組織とを接続することにあります。歯根部利用人工角膜を用いることで、透明な角膜から置き換えられた人工の目と、しっかりと骨組織に固定されたミネラル歯質との耐久性のある太い結びつきを実現できるのです」とデュッセルドルフ大学病院眼科部長のGerd Geerling教授は語る。同大学病院の医師らはすでに、失明した患者の視力回復のためにこの方法を用いている。

  歯根部利用人工角膜は、イタリア人眼科医Benedetto Strampelliによって1960年代にはすでに開発されていた。

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