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人種間の格差に苦しむ米国の歯科医療

Jeremy Booth, Dental Tribune International

Jeremy Booth, Dental Tribune International

月. 10 5月 2021

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シカゴ(米国):米国の歯科医療従事者は多様化していますが、未だに幅広い人口の人種的・民族的属性を代表していません。医療政策機構(HPI)の最新の調査によると、ヒスパニック系及び黒人系アメリカ人は、歯科医療従事者としての地位が著しく低く、アジア系及び白人系アメリカ人は歯科医療従事者としての地位が不均衡であることがわかりました。このような格差は、歯科教育や口腔ケアにかかる費用の問題にも表れています。

HPIは、4月に一連の新しいインフォグラフィックスを発表し、2020年の米国の歯科医療従事者に占める黒人歯科医師の割合は3.8%、ヒスパニック系歯科医師の割合は5.9%であることを示しました。同年、米国の人口に占める黒人の割合は12.4%、ヒスパニック系アメリカ人の割合は18.4%でした。アジア系アメリカ人の人口は5.6%に過ぎないにもかかわらず、アジア系アメリカ人の歯科医師は歯科医師の18.0%を占めていました。白人は、歯科医師の70.2%を占め、人口の60.0%を占めています。

HPIデータは、米国の人口における人種分布が2005年以降大きく変化していることを示していますが、一方で、こうした変化が歯科医師の労働力に反映されていないことも示しています。

人口に占めるアジア系アメリカ人の割合は、2005年の4.2%から2020年には5.6%へと増加し、歯科医療従事者に占める割合も2005年の11.8%から2020年には18.0%へと増加していることがわかりました。2005年には、ヒスパニック系アメリカ人が人口に占める割合は14.4%でしたが、2020年には18.4%に増加しています。2005年には、ヒスパニック系の歯科医師は、歯科医療従事者の4.2%を占めていましたが、昨年は5.9%に増加しました。人口内の黒人の分布は安定しており、2005年から2020年の間に0.2%しか増加しておらず、歯科医師に占める黒人の割合は15年間で0.1%増加しています。

人口に占める白人の割合は、2005年の67%から2020年には60%に減少し、歯科医療従事者に占める白人歯科医師の割合も同期間に79.8%から70.2%に減少しています。

●歯科治療のコスト面での障害における人種間格差

HPIデータによると、歯科医療費に関する人種間格差は、成人と高齢者の年齢層では拡大し、子どもでは縮小しました。子供の年齢層では、データに含まれるすべての人種で、歯科治療にかかる費用の負担に関する報告が減少しました。2005年には、ヒスパニック系の子どもの報告された費用負担が11%と最も大きかったのですが、2019年には6%に減少しました。黒人とアジア人の子どもが報告した費用負担は、それぞれ7%から4%に、7%から3%に減少しました。

2005年、ヒスパニック系及び黒人の成人の16%が歯科治療にかかる費用の障害を訴えていましたが、2019年にはそれぞれ27%と23%に増加しました。また2005年に、アメリカの白人の12%が歯科治療にかかる費用の障害を訴えていましたが、2019年には16%に増加しています。

2005年には、ヒスパニック系高齢者の10%が歯科治療費の支払いに苦しんでいましたが、2019年には29%に増加しました。

歯科治療にかかる費用の障害について報告された中で、最も急激に増加したのはヒスパニック系の高齢者でした。2005年にはヒスパニック系高齢者の10%が歯科治療費の支払いに苦労していましたが、2019年には29%に増加しました。白人とアジア人の高齢者では、2005年には5%が費用の負担を訴えていましたが、2019年にはそれぞれ11%と16%に増加しました。ヒスパニック系アメリカ人の高齢者では、2005年には6%、2019年には19%の人が費用の問題を訴えていました。

●歯学を学ぶアジア系アメリカ人の増加

HPIのデータによると2005年以降、米国の歯科学生の多様化が進み、アジア系およびヒスパニック系アメリカ人の歯科学への入学者が増加していることがわかりました。現在アジア系グループは、歯学部学生全体の約25%、歯科医療従事者の約18%、米国人口の約6%を占めています。

人種間の不平等は、歯学部卒業生が抱える学生債務の額にも表れていました。このデータによると、アジア系歯科医師の20%以上が無借金で歯科大学を卒業しています。一方、黒人の歯科医師の場合、無借金で仕事を始めるのはわずか1%です。2019年、卒業する黒人歯科医師が負っている平均的な学生債務は31万4,360ドル(現在の為替レートで26万1,405ユーロ)でした。また、白人歯科医師の平均学生債務は28万3,046ドル、ヒスパニック系歯科医師は28万6,437ドル、アジア系歯科医師は22万5,750ドルでした。

米国歯科医師会(ADA)のアクセスと予防に関するアドボカシー委員会の委員長であるJessica Meeske博士は、プレスリリースの中で、HPIデータは健康格差に対する認識を高める機会を提供するものであるとコメントしています。「ADAは、年齢、人種、障害の有無、収入などにかかわらず、健康な口元を望む誰もが実現できるような口腔保健の公平性と改革を支援することで、その変化をリードし、全てのアメリカ人の口腔保健の改善に取り組む歴史的な機会を得ました」とMeeske氏は述べています。

Meeske氏は、「私が最も驚いたのは、異なる人種の子どもたちが歯科医にかかる際の格差が、大人ではなく子どもたちの間でどれだけ縮まっているかということです」と述べています。「これは、大人のメディケイド患者を診てくれる歯科医の数が少ないことが原因ではないかと思います。」

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