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少ない歯磨き回数が血管内皮機能低下に関連

水. 30 4月 2014

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歯周病や口腔内の衛生状態は心血管病の独立した予測因子であるが、動脈硬化の初期から障害される血管内皮機能と口腔衛生との関係は明らかになっていない。広島大学循環器内科学の梶川正人氏らは、血管内皮機能評価法である血流依存性血管拡張反応(FMD)検査を受けた中高年男女190例を対象にした横断研究の結果から、歯磨き回数が1日1回以下という不良な口腔衛生状態が、血管内皮機能低下(FMD 2.9%未満)に関連することを明らかにした(Circ J 2014; 78: 950-954)。きちんと歯磨きすることは、歯周病予防のほか、血管内皮機能の改善や動脈硬化性疾患の発症予防につながる可能性があるという。

 慢性炎症は、血管内皮機能障害を増強し、動脈硬化の発展に重要な役割を果たしている。これまで同科の東幸仁教授の研究グループは、慢性炎症の原因となるHelicobacter pylori感染症や歯周病を有する患者で、血管内皮機能が低下していることを確認。さらに、高血圧患者や冠動脈疾患患者を対象に歯周病治療を行い、血管内皮機能が改善したことを報告した。また最近、少ない歯磨き回数が心血管病リスクを高めることを報告している。

 この研究の対象は、2012年3月~13年6月に、健診後の精査目的で同大学病院を受診し、FMD検査を受けた連続190例(平均年齢57±18歳)で、1日当たりの歯磨き回数のアンケートを行い、血管内皮機能と歯磨き習慣との関連を検討した。

 歯磨き回数が1日1回以下、2回以上の2群に分けて背景因子を比較すると、年齢、性、BMI、拡張期血圧、HDLコレステロール(HDL-C)、高感度C反応性蛋白(hs-CRP)、高血圧、喫煙者の比率に有意差があり、1日1回以下群の方が冠危険因子を多く保有していた。1日1回以下群の血管内皮機能障害は動脈硬化の初期段階にあり、生活習慣への介入により回復する可能性が考えられるという。

 一方、歯磨き回数1日2回以上群で観察された良好な血管内皮機能には、食事や運動を含む生活習慣全体が反映されている可能性も否定できないが、梶川氏らを含む複数の研究で、歯周病治療により動脈硬化性疾患患者の血管内皮機能が改善することが確認されている。

 同氏は「歯磨きは口腔衛生状態を改善するシンプルな方法で、適切な歯磨きが血管内皮機能を改善すると思われる。今後大規模かつ長期的な研究を行い、歯磨きの血管内皮機能への影響について検証する必要がある。また、歯磨きの回数だけでなく、タイミングや磨き方を含めて効果的な方法を検討したい。歯磨きは費用もかからず健康を保ち、さらに医療費削減につながると思われる」と述べている。

Medical Tribune 2014年4月24日 Vol.47, No.17, P17より抜粋

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