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よりよい口腔衛生習慣を育むのに『歯みがき貯金』のようなアプリが役立つかもしれない

天野聖志氏は歯みがきアプリ「歯みがき貯金(Brush'n'Save)」を開発した。このアプリには、一定期間アプリで歯みがきを続けた子どもに、両親がご褒美を与える機能がある。(画像は天野氏より提供)

自身の娘が毎日の歯みがきに集中できるようにと、日本人歯科医師の天野聖志氏が開発した優れた歯みがきアプリ「歯みがき貯金(Brush'n'Save)」は、2014年に日本でリリースされた。いまでは、このアプリの英語版が約130ヵ国でリリースされている。Dental Tribune Onlineは、子どもや大人が口腔衛生への関心を高め、毎日の歯みがき習慣を改善するために、このアプリが遊び感覚でどのように役立つのか、天野氏から話を聞く機会を得た。

Dental Tribune Online:アプリ開発のアイデアが生まれたきっかけは何ですか?
天野聖志氏:当時、私の娘は中学3年生でした。彼女はむし歯になったことがありませんでした。小さいころから、いつも私に歯をみがくようしつこく言われていたのも理由の一つです。しかし、子どもは成長するにつれて親の言うことも聞かなくなるものです。彼女は、スマートフォンをいじって夜更かしするようになるでしょう。歯もみがかずに寝てしまうこともしょっちゅうあるでしょう。それは、彼女がむし歯になるリスクがかなり高まることを意味していました。私は、彼女が自分から歯みがきをするような仕掛けを考え出す必要があると思ったのです。歯をみがくことと娘が楽しむことを組み合わせるというアイデアが浮かび、スマートフォンの歯みがきアプリ「歯みがき貯金」の制作に着手しました。それが、歯みがきをすることによってユーザーがお金を稼ぎ、貯金できるアプリというわけです。

Dental Tribune Online:どのようにしてそのプロセスに取り掛かりましたか?
天野聖志氏:最初に、既存の歯みがきアプリをいくつか調べてみました。そこでわかったことは、利用できるアプリはたくさんあっても、その対象がすべて子ども向けか、あるいはあまりにもゲーム的だったということです。ティーンや大人が使えそうなアプリはありませんでした。
「歯みがき貯金」のために、大人でも使えるアプリ、そして娘が長期にわたって歯みがきを続けるように仕向けるアプリを、どうやって開発するかを考えました。

Dental Tribune Online:このアプリに搭載したかった最も重要な機能は何ですか?
天野聖志氏:まず第一に、歯をみがこうというモチベーションを保ち続ける手助けをする必要があると考えました。次に、ティーンエイジャーにもアピールするもので、彼らがアプリと一緒に歯みがきでき、歯の隅々まできれいになり、それによって一生むし歯や歯周病にならないような、簡単で効果的な歯みがき方法を示すことが重要でした。

また、大人のためにもなるフル機能のアプリにしたいと考えました。例えば、最適な歯みがき時間に関する情報を盛り込み、よい歯みがきの動きをしているときの詳細な様子を見せたい、と思ったのです。

 

Dental Tribune Online:開発にかかった時間はどのくらいでしたか? また、日本ではいつリリースされましたか?
天野聖志氏:開発には6ヵ月かかりました。アプリは日本では2014年10月にリリースされました。

Dental Tribune Online:アプリがリリースされた時点で、ユーザーの反響はどうでしたか? そして最も重要なことですが、娘さんはこのアプリを気に入ってくれましたか?
天野聖志氏:ユーザーの反応は非常に良く、多くの好意的な評価を受け、子どもをもつ多くの人たちに喜ばれました。また、大人のユーザーからも多くの評価を受け、「実際に歯をきれいにするのに役立った」、「このアプリを毎日使っている」と言われました。さらに、多くの歯科医師や歯科衛生士たちからも、「大人と子どもを問わず患者に勧めた歯みがきアプリがこの”歯みがき貯金”だ」と言われました。

私の娘はどうかと言いますと、アプリが自分のために開発されていると聞いて、なんだかばかげたアイデアだと思ったそうです。しかし、毎日アプリと一緒に歯をみがくことでお金を稼げるとわかって、彼女の態度が変わりました。(編集者注:オプションの貯金機能で、アプリと一緒に一定期間歯みがきを続けた子どもに両親がご褒美を与えることができる。ご褒美は、実際のお金またはその他のご褒美の形で設定できる)。その後、私が望んだとおりに、彼女はアプリを使い始め、毎日その金銭的なご褒美の目標に向かって歯をみがくようになりました。日常的なよい歯みがき習慣を育てることによって、彼女の口腔衛生への関心は高まったと思います。

Dental Tribune Online:ところで、このアプリの英語版が世界中で利用されています。一人ひとりの口腔衛生のために、「歯みがき貯金」のようなアプリがさらに重要になる、いや、それどころか日常的になるだろうと思いますか?
天野聖志氏:歯みがきは、世界中のほとんどの人が毎日行っていることですが、多くの人は正しい歯みがきをしていません。むしろ、自己流で不完全です。その結果、いまもなおむし歯や歯周病にかかる人がたくさんいるのです。ですから、人々のよりよい、正しい口腔衛生習慣を育てるのに、「歯みがき貯金」のようなアプリが役立つことを願っています。

Dental Tribune Online:開業歯科医師として、口腔衛生の大切さに関する教育、また最も重要なことですが、規則的な歯みがきの動機付けといえば、カギとなるのは何だと思いますか?
天野聖志氏:正しい歯みがきテクニックを使って、毎日決まった時間に歯をみがこうという気にさせることが重要だと思います。これによって、皆さんが自分の口腔衛生を維持することに関心を持つようになると思います。

Dental Tribune Online:インタビューにお答えいただき、どうもありがとうございました。

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