Dental Tribune Japan

歯科では歯科医の裁量により抗生物質が頻繁に過剰処方されている

By By Franziska Beier, Dental Tribune Internatio
October 04, 2019

抗生物質の使用は、依然として議論の余地が残されている。最近の研究で、歯科インプラント感染症の予防における抗生物質の必要性について調査が行われた。筆頭著者のDr. Ismael Khouly(米国ニューヨーク大学歯学部、ブルーストーン臨床研究センター歯周病学・インプラント歯科学副所長)らは、抗生物質の予防的使用は総合的に健常な患者における術後の歯科インプラント合併症に影響を及ぼさないことを明らかにした。Khouly氏はこの話題についてのDTIの取材に、快く応じた。

Dental Tribune International:先生はなぜこの話題に取り組まれたのでしょうか?

Dr. Ismael Khouly:歯科インプラント埋入手術前の抗生物質予防投与、抗生物質の誤用と過剰使用、および抗生物質の処方に伴うリスクに関する現用の臨床ガイドラインがなかったため、システマティックレビューでこの話題に取り組むことに決めました。

医学文献をレビューしていると、股関節や膝関節などの手術における抗生物質予防投与に関する既存のガイドラインは、多くの場合、術後感染症に基づくものであることが分かりました。そのため、我々の抗生物質予防投与に関するシステマティックレビューでは、インプラント失敗の防止だけでなく、むしろ歯科インプラント手術における手術創傷感染症の防止に、重点的に取り組むことを決めたのです。

さらに、複合抗生物質、用量、および服薬スケジュールに関して、特定の投与計画の中に、エビデンスに基づく特定の臨床ガイドラインを正当化できるものがあるかどうかについても調査しました。我々の目標は、より多くの情報を収集し、臨床医が責任をもって、歯科インプラント埋入手術のどの時点で抗生物質を使用すべきか、どのような臨床状況でなら抗生物質の投与が推奨されるのかだけでなく、適切な抗生物質を適切な用量で、適切な継続期間で、選択することができるよう支援することでした。

 

抗生物質は頻繁に処方されすぎているわけですね?

JAMA Network Openに発表された最近の研究によれば、残念なことに、抗生物質は医師の裁量によって過剰処方されており、その大部分は歯科で不必要に処方されています。米国で使用される抗生物質の約10%が歯科医によって処方されていることを考えれば、これは重要なことだといえます。したがって、我々は、エビデンスに基づき抗生物質を合理的に使用し、抗生物質の乱用を防ぐための、臨床ガイドラインを作成しなければなりません。

 

歯科医は何を認識すべきでしょうか?

歯科インプラント治療に関与するすべての臨床医は、インプラント埋入手術で抗生物質を処方する際に、交絡因子を見落とさないように注意すべきです。術後感染症やインプラントの失敗のようなインプラント歯科学における術後合併症は、多因子性である可能性が最も高く、臨床医、環境、あるいは患者に関連し得る各種のリスク因子を含んでいるということを臨床医は理解すべきです。さらに、国際インプラント学チーム抗生物質研究グループ(International Team for Implantology Antibiotic Study Group)による研究の中ですでに述べられているように、インプラント初期の失敗は、外科手技に起因する交絡因子などの、術後感染症とは別の原因によって生じる可能性があります。

 

インプラント手術への抗生物質処方に関して、何を推奨したいとお考えですか?

我々のシステマティックレビューには限界があることを踏まえた上で申し上げれば、抗生物質予防投与は、歯科インプラント埋入手術後の術後感染症を予防しない可能性があると思われます。

しかし、我々の研究の中でも申し上げていることですが、「このようなエビデンスが得られるようになるまで、臨床医は、患者ごとに、抗生物質予防投与のベネフィット(またはその欠如)について、与えられた病歴と手術の難易度を評価し、総合的に見れば健常な患者(overall healthy patients)に関する既存の論文に示されている結果、ならびに抗生物質の投与に伴うリスクを慎重に検討することを、我々は推奨します」。

(原題:Antibiotic prophylaxis may not be indicated for prevention of dental implant infections in healthy patients. A systematic review and meta-analysisClinical Oral Investigations20194月号に掲載。)

 

出典:News Americas 2019/7/9

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