Dental Tribune Japan

インタビュー:自分の口腔衛生習慣を正すことが、患者さんのためになる

By Kasper Mussche
June 16, 2021

歯学部の学生は、口腔衛生のスキルを向上させるために、教科書の例に頼ったり、限られた実践的なトレーニングしか受けていないことがよくあります。スペインのバルセロナ大学で予防歯科・地域歯科学の教授を務めるIsabel Martínez Lizán博士は、歯学部の学生たちにiTOP(individually trained oral prophylaxisの略)トレーニングを行っています。iTOPトレーニングプログラムにより、歯科学生は完璧なブラッシングのための正しいツールとテクニックを実地で学ぶことができ、将来の患者さんに生涯にわたる口腔衛生を提供することができるのです。

[Martínez博士、なぜバルセロナ大学は歯学部の学生にiTOPを提供することにしたのですか?]
バイオフィルムを機械的にコントロールすることは、炎症や口腔疾患を予防するための主要な柱です。iTOPを通じて、学生たちは完璧な口腔衛生のために必要なツールとテクニックを実地で学ぶことができます。得られた知識、スキル、モチベーションは、将来の患者さんを指導する際に使用できる素晴らしいリソースとなります。

歯科医療従事者にとって、自分の口腔衛生習慣を観察し修正することは、患者さんを助けるための最良の方法です。しかし、学生は教科書の理論的な記述に頼らざるを得ないことが多いのです。これでは、患者さんを指導することができず、病気や侵襲的な修復を前提とした歯科治療が長引くことになります。

[iTOPに参加する前の学生が持っている、予防に関する誤解は何ですか?]
まず、よくある誤解は、予防は病気がないときにしか適用できないというものですが、これは単純にそうではありません。機械的なバイオフィルムの制御は、何があっても継続的に行われます。

2つ目は、学生が自分の口腔衛生技術に時間を割いて練習する必要があることに気づかないことです。歯間ブラシや歯間ブラシを自分の歯に使うのは初めてなので、自分たちも程度の差こそあれ、炎症を起こしていることをiTOP講習会で初めて知ることになるのです。

「健康教育は歯科衛生士の重要な責務の一つである」

[iTOPはどのようにして患者の行動変容を促すのでしょうか?]
健康教育は、歯科衛生士の重要な責務の一つです。歯科衛生士の仕事はその性質上、予防的、非外科的であり、患者の習慣を改善することで口腔の健康を促進することに重点が置かれています。

そこで、患者さんの習慣を変えるためにiTOPが大切にしているのは、「タッチ・トゥ・ティーチ」という手法です。これは、患者さんの手を取って技術を練習することで、口腔衛生を指導するというものです。指導を受けながら練習を繰り返し、フォローアップすることで、継続的な改善を促します。iTOPがないと、歯学部の学生はバイオフィルムコントロールを理論的にしか学べません。これは、彼らが歯科医療従事者になったときに問題になる可能性があります。歯科医師は自分の経験に基づいて、患者に何をすべきかを正確に指示できるようになるべきであると考えています。

[治療中の患者さんはどうですか?]
現在、口腔疾患のリスクが最も高いのは、インプラントや矯正装置を装着している患者さんのようです。私たちの経験では、患者さんが事前に完璧な個別の予防法を学び、それを治療中や治療後にも継続して実践することで、治療の予後が大きく改善します。


iTOPでは個人指導が欠かせない。(画像:キュラデン社)

どんなに優れた口腔リハビリテーションや手術でも、機械的なバイオフィルムのコントロールができなければ、治療の予後や患者さんの口腔内の健康が著しく損なわれてしまいます。

[最後に、iTOPはどのようにして学生に予防意識を持たせることができるのでしょうか?]
歯科医療従事者は、トレーニングの一環として、自分自身の口腔内の健康を正しく維持することに専念してきたため、患者さんへの共感を得ることができます。彼らは、患者さんにとっての困難がどこにあるのかを知り、自分の経験に基づいてツールやテクニックを推奨します。自分が経験したことを患者さんに時間をかけて指導する価値があることを理解します。これからのお口の健康は予防とメンテナンスが基本ですが、歯科医院ではその知識と技術を持った人が歯科衛生士なのです。

編集部注:iTOPセミナーへの参加を希望する歯学部の学生や開業医の方は、近隣のセッションの日程と場所をこちらで確認することができます。

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