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診療所を閉鎖し、行方くらます

世界中の人々が、米国の歯科医師Dr. Walter James Palmerにクロスボウで撃たれたライオン・セシル(写真は2012年撮影)に哀悼の意を表している。当局はこの事件の調査を始めた。(Photograph: paula french/shutterstock)

米・ミネソタ州・ブルーミントン/ジンバブエ・デテ:Dr. Walter James Palmerは記録的な速さで世界的に不名誉となった。ニュースを席巻しているこのミネソタの歯科医師は、野生動物のハンティングへの度を越した情熱で名を成すこととなった。トロフィー・ハンターであるPalmerは、ジンバブエで愛されていたライオンのセシルを殺害後、仕事を続けられない事態となった。彼の診療所前では抗議のデモが行われ、この評判の悪い歯科医師を廃業に追い込み、違法と疑わしい行為について患者に対して釈明することが求められている。

 録画された声明によると、ジンバブエのサファリオペレーターは、Palmerが13歳のライオンを殺したことを確認したという。このライオンはオックスフォード大学で進行中の保護研究の対象であり、またHwange国定公園の人気者として世界的に知られていた。オペレーターによると、ハンティングのためにPalmerはおよそ55,000米ドルを支払ったという。過去数年間にわたりGPSでセシルを追跡していた大学の自然保護調査チームの専門家の話では、セシルが殺害されたことで、ライオンの複雑な社会構造に起因するライバルのライオンたちによってセシルの群れの子どもライオン最大10匹が殺されてしまうかもしれないという。

 この有名なライオンは7月1日に撃たれたが、セシルの殺害者の正体と、動物の死体のそばで高慢に微笑むPalmerの写真が今週になって広まると、世間の騒動を引き起こした。抗議者たちはPalmerの仕事場に電話をし、ウェブサイトにはコメントを残した。怒れる人々がポスターを持って、ブルーミントンのRiver Bluff歯科診療所の前やPalmerの自宅に集まり抗議した。各ソーシャルメディアは嫌悪的な発言であふれており、数カ国語で請願の署名が始まっている。その中には公正な裁きがあるようPalmerのジンバブエへの引き渡しを要求する「ジンバブエのライオン・セシルのための正義の要求」という署名活動も含まれており、すでに100万近くの署名を獲得している。こうした世界中の批判に応じて、Palmerは診療所を閉鎖することを決めた。

 この55歳の歯科医師は「患者様へ」という文を7月28日に発表し、動物殺害を弁護しようとした。「歯科学以外に対する私の情熱は、家族と共に時間を過ごすことに加えて狩猟もそのひとつです。ノースダコタ州で育った子どものころからずっと、ハンターであり続けています。不和の素や感情的になる話題でありえるため、患者と狩猟の話をすることはほとんどありません。(中略)私は、自分が愛情を持ち、責任を持って合法的に実行していることが、このライオンの命を奪う結果になって非常に後悔しています」。Palmerはまた、現在診療が行えなくなっていることも患者に伝えている。「今回のことや一般的に狩猟を行うことに対して怒れる人たちからの相当な数のコメントや電話があり、メディアの興味もひいてしまっており、診療を行い患者を診るのに支障をきたしています」。

 Palmerのハンター歴は長い。アカウント名Walt PalmerのFlickrアルバムには、バイソン数頭、カリフォルニアビッグホーン、鹿、白サイ(絶滅危惧にある種)、大鹿、ヒグマを含む殺された動物たちと共にポーズをとる歯科医師の写真がある。人々の反発に加えて、Palmerにはセシル殺害に関する法的な問題も浮上した。ジンバブエのプロハンター・ガイド協会によると、狩猟が合法だったという彼の声明に反し、ジンバブエ保護特別対策本部による声明では、ジンバブエの国定公園では禁止されている弓による狩猟を行えるように、国定公園からライオンを誘い出したのだという。公園から出たセシルは、Palmerにクロスボウで撃たれた。報告書によると、追跡されてライフルで撃たれるまでの40時間、傷ついたセシルは生きていたという。死亡後、セシルとPalmer、そしてガイドの1人が一緒に写真におさまり、その後、斬首され皮をはがされた。セシルの遺棄死体は、追跡装置があったために職員によって発見された。Palmerが動物殺害で法を犯したのは、これが初めてではない。2009年のNew York Timesの記事によると、「判例記録にあるように、彼はウィスコンシンでのガイドされたハンティング中、クロクマ殺害の正確な位置に関して虚偽の陳述を行い有罪となった」。

 セシルの死は、トロフィー・ハンティングの問題を喚起している。世界中からアフリカへ来る観光客たちは、野生動物や保護動物を殺す許可を得るために、しばしば巨額の金を支払う。The Telegraph紙で公表された統計によると、スペインのフアン・カルロス1世などの公人を含む1万8,500人が毎年アフリカへトロフィー・ハンティングに行き、ライオン、サイ、象、ヒョウなどおよそ10万5,000頭もの動物を殺している。いくつかのアフリカの国は、サファリハンティングに許可を出している。

 Palmerの件では、ハンターが狩られる立場になった。彼の診療所と自宅前での抗議は診療所を閉鎖させ、彼のウェブサイトとFacebookページも閉じられ、彼は姿を消した。米国魚類野生生物局は今回のライオン殺害に関する状況の調査を開始したが、Palmerを探し出すことができていない。

 ジンバブエ環境大臣のOppah Muchinguriは7月31日、狩猟が不法であったとしてPalmerを引き渡すよう要求している。

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