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歯周病で閉経後の乳がんリスクが上昇

研究によると、歯周病が乳がんの進行に寄与することが示された。(Photograph: Guschenkova/Shutterstock)

米・ニューヨーク州バッファロー:歯周病は一貫して慢性疾患に関与するにもかかわらず、乳がんの進行における口腔細菌の役割については、限られた科学的エビデンスしか存在しなかったが、このほど、歯周病のある閉経後の女性では、乳がん進行の顕著なリスクの上昇が認められた。

 研究は、乳がん既往歴のない50~79歳の女性でWomen's Health Initiative Observational Study(WHI-OS)に登録されていた7万3,737人を対象に行われた。閉経後女性の前向きコホート研究で、心疾患、がん、骨折を予測するリスク要因を決定する目的であった。

 6~7年の追跡期間後、2,124例の乳がんが同定され、歯周病と報告された参加者が26%以上であった。研究者らによると、歯周病の女性は歯周病でない女性と比較して乳がんのリスクが14%高く、喫煙経験者の乳がんリスク上昇も同等であった。過去20年の間に禁煙し、かつ歯周病のある女性では、乳がん進行のリスクが36%高かった。歯周病があり喫煙経験がない女性、および歯周病で20年以上前に禁煙した女性では、それぞれのリスク上昇は6%と8%であった。

 研究主任であるニューヨーク州立大学バッファロー校・疫学環境衛生学のDr. Jo L. Freudenheimによると、歯周病と乳がんの関連には、考えられるいくつかの理由があるという。全身性炎症が歯周病によって起こり、それが乳房組織に影響する、また、口腔からの細菌が循環系に侵入し、乳房に影響する、といった理由が挙げられる。しかし、因果関係を立証するにはさらなる研究が必要で、「歯周病と乳がんについて別の母集団で研究できれば、また、歯周病の特性について詳細に研究できれば、関係性があることについて理解する助けになるだろう。口腔細菌と乳がんの役割について知るべきことがたくさんある」とFreudenheimは述べている。

 乳がんは女性のがんとして最もよくあるもので、米国疾病対策センターの統計によると、毎年米国だけで22万人以上の女性と2千人以上の男性が乳がんと診断されている。歯周病もよくある疾病で米国成人の約半数が罹患しており、心疾患、脳卒中、糖尿病に関連することが示されている。

 「“Periodontal disease and breast cancer: Prospective cohort study of postmenopausal women”(歯周病と乳がん:閉経後女性における前向きコホート研究)」というタイトルのこの研究は、2015年12月21日、出版に先がけてCancer Epidemiology誌オンライン版で発表された。

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