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歯周治療の心得七カ条 第一条「病をもつ人」を自分の患者にする

水. 28 11月 2012

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患者も納得する治療を求めて― 人類が多くの病気をワクチンの開発や治療方法の確立で駆逐してきた歴史を考えると,歯周病にはいまだにこれといった決定打がないことに歯科医として忸怩たる思いがする。 もっと悲しむべくは日本の歯科医の多くが,歯科二大疾患である歯周病に対して,その「対症療法」さえも満足に行っていないという事実である。専門医レベルまでとは言わないが,せめて基本的な歯周治療はマスターして欲しいと思う。 そこで,歯科医としていきいきと,そして患者も納得できる歯周治療とその心得7カ条をこれからの連載で考えていきたい。  

◆患者も納得する治療を求めて
人類が多くの病気をワクチンの開発や治療方法の確立で駆逐してきた歴史を考えると,歯周病にはいまだにこれといった決定打がないことに歯科医として忸怩たる思いがする。
もっと悲しむべくは日本の歯科医の多くが,歯科二大疾患である歯周病に対して,その「対症療法」さえも満足に行っていないという事実である。専門医レベルまでとは言わないが,せめて基本的な歯周治療はマスターして欲しいと思う。
そこで,歯科医としていきいきと,そして患者も納得できる歯周治療とその心得7カ条をこれからの連載で考えていきたい。

◆モチベーションこそ大変
第一条は病気を持った人,つまり「病人」を,どのように,「きちんと治療をしたい」と考える人,すなわち自分の「患者」にするか,というところからお話ししよう。
人はなんらかの症状を自覚して初めて病気を意識する。胃が痛かったり,歯周病であれば歯茎が腫れたり,そんな症状だ。ただし,この段階ではまだ病人ではない。症状があるだけのことである。
しかし,それらの症状を強く意識し,どうもおかしいぞ,となって初めて病人になる。現代は検査が発達しているため,症状がなくても突然病人となる場合もあるが,人類の歴
史はこうして病人を定義してきた。
その病人がなんとか病気を治したいと思って医者に行く。患者とは,その病気を自覚し,治してもらおう,という気持ちになって初めて患者になる。
つまり,ここで大事なことは,患者が病気と治療をセットで納得しなくてはこの医師-患者という関係が成立しない点だ。モチベーションという言葉はそういう意味で便利であ
る。「動機付け」と訳されている通り,患者が治療を受ける気持にするきっかけ,病気に向かう姿勢をつくること。でも,実はこれこそが大変なことなのである。

◆歯周治療はオーダーメイドで!
それでは患者が納得するモチベーションとは? 歯科医が患者に歯周病を説明する時,次のパターンが多いようだ。「なんでここまで放置した!」という恫喝型。意外に歯周病に真剣に取り組んでいる歯科医に多いが,患者は引いてしまう。歯周治療のオプションを持っていない歯科医に多いのが「見て見ぬふり型」。このパターンはすぐ補綴治療に入りたがる。  最近増えているのが「即抜歯型」。インプラントを中心に治療を行っている歯科医に多い。患者とのトラブルも少なくないタイプと言える。
一番困るのが「膿漏・絶望型」。いまだに歯周病を「膿漏(なぜか歯槽を抜いて言う)」と言ってこの病気は治らないと言下に言い放つタイプ。これらいずれかのタイプに自分が少しでも合致していたら考え直した方がよい。
私が推奨したいモチベーションは「感染(炎症),咬合,血管」という3つのリスクファクターのどのタイプに偏った歯周病患者であるかを見極め,それに応じた病態の説明ができる歯科医,言い換えれば「歯周病・オーダーメイド仕立て型」だ。

《DENTAL TRIBUNE 2009年6月Vol. 5 No. 6 P 4より》

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