スウェーデン・ウプサラ:歯のエナメル質は人体で作られる最も固い物質である。エナメル質は歯を組成する主な4つの組織のうちの1つであり、歯に白く輝く外観を与えている。そのため、もともと全く異なる身体部分の皮膚がエナメル質の源であることがわかったこの研究は、驚きをもって迎えられた。
口の中にしか歯をもたないヒトと異なり、いくつかの種の魚は体の外表に歯のような鱗を持っている。ウプサラ大学(スウェーデン)と中国・北京の古脊椎動物・古人類学研究所の研究者らは、その鱗が硬鱗質と呼ばれるエナメル状の組織で覆われている北米の古代のガー科の魚であるLepisosteusを分析した。
彼らはLepisosteusの皮膚の遺伝子に、エナメル質特有の3つのマトリックスのうち2つを発見した。これは、その硬鱗質がエナメル質の1形成であることを強く示唆している。エナメル質の最初の由来はどこなのか-口なのか皮膚なのか-を決定するために、研究者らは中国のPsarolepis とスウェーデンのAndreolepis という化石魚の皮歯を調査した。Psarolepisでは顔の鱗と皮歯はエナメル質で覆われていたが、歯にはエナメル質がなく、Andreolepisでは鱗にだけエナメル質があった。
これらの調査結果は、エナメル質が実は最初に皮膚で発達したということを示唆している。「PsarolepisとAndreolepisは最も初期の硬骨魚であるので、それらの歯にエナメル質がないことは原始的だからであり、特殊性からくるものではないと我々は考えている。エナメル質は硬鱗質と呼ばれる皮膚が由来で、その後のある時点で歯に移ったにすぎない」と、ウプサラ大学進化生物学教授のDr Per Ahlbergは説明している。
この研究は、ひとつの分析の中で古生物学とゲノムデータを組み合わせて組織の発達を調査する初めての試みである。研究結果は9月23日、“New genomic and fossil data illuminate the origin of enamel(エナメル質の由来を明らかにするゲノムと化石の新たなデータ)”というタイトルでNature誌のオンライン版に掲載された。
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