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歯のエナメル質は急速に成長する

胎児の切歯は妊娠第二期の早い段階で急速に成長するが、一方、臼歯は妊娠第三期にゆっくりと成長する。(Image: Mopic/Shutterstock)

英・カンタベリー:ケント大学で行われた新しい研究で、ヒトの歯の出生前のエナメル質の成長度合いは離乳と関係があることがわかった。また、切歯は胎児の成長において妊娠第二期の早い段階で急速に成長し、一方、臼歯は妊娠第三期にゆっくりと成長することが明らかとなった。これは、乳児が授乳期から離乳期に移行するころである生後約6カ月のときに、切歯の生える準備ができていることを示している。

 ヒトの離乳は、チンパンジーのような霊長類とくらべて比較的早期に始まる。結果としてヒトの切歯の形成にはより少ない時間しかなく、その埋め合わせのためにエナメル質が早く成長する。

 この研究成果は、人類の祖先の離乳についての我々の理解を深めるとともに、歯の問題はすべての歯で同様に扱うべきではないとわかるなど、歯科医師の助けにもなる。エナメル質細胞は、歯の種類に応じて異なる時期に異なる速度で新しい組織を堆積していく。

 ヒトにおける初期の離乳はいつ始まるのか、という議論がちょうど人類学者の間で多くなされているが、現在の歯科的研究では、死亡時に生えかけの歯がある頭蓋骨化石に頼っており、非常にまれにしか見られない。今回、人類学者たちはまったく新しい方法で離乳の開始を探ることができるようになった。なぜなら、乳歯は生えてから死後何千年にもわたって、出生前のエナメル質の成長の記録を保存しているからである。

 この研究は、英王立協会から助成を受け、ケント大学人類骨学研究所・ケント骨学分析研究チームのDr Patrick Mahoney によって行われた。

 “Dental fast track: Prenatal enamel growth, incisor eruption, and weaning in human infants(歯の急速な成長:出生前のエナメル質形成や切歯の萌出と、ヒト乳児の離乳)”というタイトルのこの研究は11月11日、発行に先立ちAmerican Journal of Physical Anthropology誌のオンライン版で発表された。

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