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透明アライナー その技術の進歩に注目

Brendan Day, DTI

Brendan Day, DTI

月. 30 10月 2017

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透明アライナーは、まだ比較的新しい歯科矯正治療法であるが、審美的に好ましく、かつ、快適な選択肢を提供するので、固定式矯正装置に代わる矯正装置として認知度を高めている。しかし、近年、アライナー技術は急速に進歩しているものの、まだ多くの歯科医に認知されておらず、採用率が上がらない原因となっている。本記事では、アライナー治療とその進歩について報告する。

従来、歯列不正の矯正は固定式矯正装置を用いて行われてきた。一方、1999年、アライン・テクノロジー社がインビザラインシステムの市販を開始し、歯科矯正の進路を変えた。透明アライナーであるインビザラインは、正しい使用によって、固定式装置による矯正に伴うことのあるプラークの堆積、歯肉後退、および軟組織の炎症を最小限に抑えることができ、歯科矯正治療の有効な選択肢をもたらした。さらにインビザラインは、金属部品がまったくないことから審美的利点をもたらすとともに、いつでも(特に食事中)取り外すことができるので、歯科矯正治療において過去に類のない水準の快適さと衛生管理を装着患者に提供した。

 

アライン・テクノロジー社は、最近導入したインビザラインGoシステム(審美的歯列矯正ソリューションを用いて、適合する症例を特定し、治療計画ならびに治療プロセスについて一般歯科開業医を指導することを目的とする治療プログラム)により、透明アライナーの世界市場リーダーとしての地位を確立した。それ以来、この治療法の価値が他社によって認められてきた。この注目の高まりは、透明アライナーの型取りおよび製造の高度化の急速な進展につながった。しかし、アライナー療法に関する教育と研究の促進に取り組む欧州で唯一の国際機関であるヨーロッパアライナー矯正歯科学会(EAS)のSecretaryを務めるLes Joffe博士は、これらの進歩がすべての歯科医によって十分に認識されるには至っていないことを認めている。デンタルトリビューンとのインタビューにおいて、「歯科医療従事者は、最新ではない情報や技術に基づいてアライナーの適合性に関する判断を下すことが多い」と博士は述べた。博士はさらに次のように語った。「アライナー治療が限定的であると誤解している臨床医が多数存在する。多数の臨床医が、自己の見解の根拠をアライナー開発の初期段階、すなわち、2001~2003年頃に置いている。それから15年以上経過した現在、大幅に向上したアライナーの性能が十分に理解されておらず、それ故、本治療法が採用されず、または提供されない」

 

このような透明アライナー技術の大きな進歩の一例として、個々のアライナーを各患者のニーズに合わせてカスタマイズする機能を備えた、きわめて高度な3Dモデリングソフトウェアとの統合が挙げられる。「透明アライナーは歯科矯正を著しく変化させた」とNimroDENTAL Orthodontic Solutions社の透明アライナー部門長を務めるAgnieszka Dziedziul氏はデンタルトリビューンに語った。NimroDENTAL社は1991年に設立された欧州の大手歯科矯正研究機関の一つであり、歯科診療との協業において、4種のアライメントシステムを使用している。「当社が15年前に透明アライナーの製作を開始した頃は、石膏模型上で手作業により可動部を製作することしかできなかった。今日では、高度なソフトウェアと最新の3Dプリンタを駆使して、不正咬合の大半を矯正できる透明アライナーを製作している」とDziedziul氏は語った。

 

歯科医の透明アライナーの利点に対する認識不足は、この治療法に関する科学的研究の不足に起因することがあった。しかし、アライナー療法の進歩と普及に伴って、その効果と患者満足度に関する研究も増加の一途をたどってきた。例えば、固定式矯正装置を装着した患者と、インビザラインシステムによる治療を受けた患者との間で、口腔の健康状態と満足度を比較した2015年の研究が専門誌『BMC Oral Health』に掲載されている。この研究は、全体的にインビザライン装着患者の方が満足度が高く、プラークの付着が若干低いレベルであることから、歯周組織の健康についても当該患者の方が優れていることを明らかにした。2013年に実施され、専門誌『The Angle Orthodontist』に掲載された別の研究によれば、アライナー治療を受けた患者は、従来のエッジワイズブラケットによる治療を受けた患者と比較して、歯科受診の回数が著しく少なく、また治療期間も短く、緊急受診の回数も少なく、総治療時間も短い。

 

アライナー療法は、歯科矯正において最も急速な成長を遂げている分野の一つであるが、その重要な推進力となっているのは、アライナーを固定式矯正装置に代わるより快適、便利かつ信頼できる矯正装置であると認める患者の存在である。市場調査会社テックナビオ社は、2016年から2020年までの4年間で、この市場が世界的に12.68%の年平均成長率を示すと予測しており、従って、団体がアライナー療法に関する教育と、この療法に対する認識の向上を図る必要性は極めて高い。2007年にGerman Association for Aligner Orthodonticsが、2012年には日本アライナー矯正歯科研究会が設立され、両団体とも、アライナー療法の適用と利点に対する認識を向上させる場を育てることを目指している。

 

その後、2013年にEASが設立され、Graham Gardner博士が初代および現在の会長を務めている。透明アライナーで使用される最新技術に関する教育の推進を目的に、EASは2017年2月18日にオーストリアのウィーンで第1回AlignerLabワークショップを主催。本ワークショップは、2016年2月の第1回EAS会議の成功に続くものであり、3D口腔内スキャン、3Dプリンティング、仮想治療計画法など、歯の移動を加速する手法に関するさまざまなハンズオンセッションに参加する機会を臨床医に提供する。

 

Gardner博士は、AlignerLabでは、アライナー療法がこのような短期間でどこまで成長したかに焦点を当てるとした。「利用できる3D治療計画や製造プロセスが急増する状況の下、我々EASは、利用可能なさまざまなアライナーシステムに関する知識を新たにするとともに、アライナーシステムの最適化と治療成績の向上のために必要な関連ハードウェア(例えば、スキャナ、コンピュータ、ソフトウェア、3Dプリンタ)について理解する必要がある」と博士はデンタルトリビューンに語った。博士は、このイベントが定期的に開催され、歯科医療従事者が新しいシステムやアライナー技術の発展について、検証や比較を行うことが可能になるのが理想的であるとした。

 

出典:Ortho Tribune UK Vol. 11, No. 1, 2017

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Exocad、シンプルな設計フローのための45の新機能を搭載したDentalCAD 3.1 Rijekaソフトウェアを発表

Exocadは、歯科技工所およびフルサービスクリニック向けのパワフルな次世代CADソフトウェア、DentalCAD 3.1 Rijekaのリリースを発表しました。今回のリリースによりexocadは、シングルユニットの補綴物の設計の迅速化、より簡単な解剖学形態のフリーフォームおよび術前のワークフローのさらなる自動化を実現します。(ビデオ:exocad)

木. 4 8月 2022

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Align Technology の傘下であり、歯科用CAD/CAMソフトウェアのリーディングプロバイダーであるexocadは、歯科技工所およびフルサービスクリニック向けのパワフルな次世代CADソフトウェア、DentalCAD 3.1 Rijekaのリリースを発表しました。45以上の新機能と85以上の改良点を盛り込んだ今回のリリースは、生産性向上を目指すワークフローの継続的最適化における、新たなマイルストーンとなります。

Exocad最高経営責任者(CEO)のTillmann Steinbrecherは、次のように述べています。「DentalCAD 3.1 Rijekaは、お客様との数多くの対話とソフトウェア開発者の熱心な研究の成果です。治療計画から設計および製造まで、ワークフローをより迅速かつスムーズにしてくれる幅広い新機能と改良点をお届けできることを嬉しく思います。」

歯科技工所と歯科医師のよりスムーズな連携

Exocadのアドオンモジュール、Smile Creatorには、よりリアルなプレビュー画像を実現するための色調整の改善や、スライダーを使ったビフォーアフタービューといった、視覚化オプションの拡充も含め、多くの新機能が採用されました。新しい「Smile Design」のPDF形式でのレポートでは、審美治療計画プロセスに関する包括的な文書が提供され、歯科医師と歯科技工所のコミュニケーションがさらに強化されます。さらに、新しい「Smile Window」では、CADワークフロー全体を通じて、瞬時に実際の顔を使った視覚化を実行できます。この機能により、患者の写真の中で設計の結果をリアルタイムで確認できるようになります。

設計をもっと活用する

DentalCAD 3.1 Rijekaでは、患者の症例の流れに沿って複数の適応のカスタム歯牙セットアップを再利用することができるため、効率性が高まります。モックアップモデル、クリップオンスマイル、テンポラリー補綴物、および最終補綴物まで、同じ形状とセットアップを簡単に使用することができます。

最小限の設計時間で最大の結果を

今回のリリースにより、シングルユニットの補綴物でも複雑な上下の補綴物でも、設計のスピードアップが実現します。咬合器の動きを即座に再計算し、視覚化できるようになりました。

DentalCAD 3.1 Rijekaを利用すると、Instant Anatomic Morphingの自動機能が拡張され、クリック数を減らしてより迅速にシングルユニットの補綴物を設計できるようになります。術前スキャンが利用できる場合は、クラウンの生成の自動化がさらに向上します。以前の解剖学形態が自動的にコピーされるため、より迅速かつ簡単に、患者の機能と解剖学形態を保持することが可能です。

フルデンチャーモジュールでは、臼歯セットアップもカスタマイズできるようになり、義歯セットアップをより細かく制御できるようになりました。 ユーザーは、個々のプリセットを保存することでライブラリを簡単に拡張でき、シングルアーチ義歯にも適応してます。

Model Creatorモジュールでは、モデル設計時のユーザー側の操作を最小限に抑え、時間をさらに短縮できるよう、モデル作成の自動化をさらに進めるための「Quick Models」を新たに取り入れました。

歯科技工所内の機器類とのよりスムーズな統合

Exocadのバーチャル咬合器モジュールは、CADソフトウェアの中では最も多くの実際の咬合器に対応し*、その正確なシミュレーションを提供しています。今回のリリースでは、人気の高いIvoclarやSAMの咬合器など、さらに多くのデバイスが追加されました。

ミリングマシン向けのexocadの統合CAMであるexocamが新しくなり、使いやすさが新たなレベルにまで引き上げられました。3Dプリントに関しては、exoprintがさらに多くの機器と連携できるようになり、人気メーカーのものを含む40台以上の3Dプリンターに対して、exocadから直接生産ワークフローを統合できるようになりました。

DentalCAD 3.1のその他の主なハイライトRijekaのリリースに含まれる内容:

  • スクリーンショットの収集、編集、タグづけのための新たな内蔵スクリーンショット管理ツールにより、症例の記録が強化されています。
  • 解剖学形態のフリーフォーム機能により、さらに使いやすくなりました。設計の影響を受ける部分が視覚的にハイライト表示され、適用される調整パラメータを一目で把握できるようになりました。
  • 新しいストックアバットメント設計ワークフローでは、ストックアバットメントライブラリに基づいたインプラントベースの補綴物の設計が可能となりました。

この最新リリースに伴い、exocadは新たなポータルサイトmy.exocadを立ち上げ、DentalCAD 3.1 Rijekaの使用に必要となるエンドユーザー登録を導入します。

Exocadは、2022年10月3日、4日にスペインのパルマ・デ・マヨルカで開催される同社のグローバルコミュニティイベント、Insights 2022で、DentalCAD 3.1 Rijekaの新リリースのハンズオンデモを行う予定です。この2日間のイベントでは、歯科業界のリーダーやアプリケーションのスペシャリストから、Rijekaの最新機能に関する詳細な情報を聞くことのできる機会が多数設けられることになっています。詳細はexocad.com/insights2022をご覧ください。

DentalCAD 3.1 Rijekaは、独自のテクノロジーとサービスを統合し、シームレスなエンドツーエンドソリューションとしてお客様に提供するAlign Digital Platformの重要な構成要素となります。 DentalCAD 3.1 Rijekaは現在、EUおよびその他の一部の市場でご利用いただけます。exocadでは、リリースの名称をEUの「欧州文化首都」からいただいており、今年はクロアチアのRijeka(リエカ)市の名前をつけさせていただきました。

詳細は、exocad.com/our-products/dentalcad-rijekaをご覧ください。

Editorial note:

*自社データ

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