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複合材に含まれる新しい生体活性ガラスが脱灰象牙質の分解を阻止する可能性あり

多数のコラーゲン繊維を含む脱灰象牙質。維持および再石灰化されない限り、象牙質のタンパク分解酵素の作用により、分解される可能性がある【左】。フッ化物含有リン酸塩富化生体活性ガラスで処理された象牙質。中央に、再石灰化の兆候である鉱物析出が認められる【右】。(画像:Salvatore Sauro、CEUカルデナル・エレラ大学)

スペイン、モンカダ:多数の研究が、う歯対処として、保護性および修復性を有する新しい修復バイオマテリアルの開発に焦点を当てている。この度、国際的な研究者のチームが、生体活性ガラスを含有する2種類の歯科用修復バイオマテリアルに関し象牙質のコラーゲン繊維の酵素的分解の低減と、再石灰化の促進における効果を評価した。

本研究の目的は、生体活性ガラスの微粒子を含有する2種類の実験用樹脂(バイオガラス45S5含有樹脂、およびフッ化物と多量のリン酸塩で強化された生体活性ガラスを含有する樹脂)によって誘発される、象牙質の内因性タンパク分解酵素の阻害と、再石灰化を評価することにあった。それらの抗分解効果は、完全に脱灰したヒトの象牙質標本上に装着し、人工唾液に30日間浸漬した上で、免疫組織化学的プロセスによって評価された。樹脂によって誘発される再石灰化は、赤外分光法および走査電子顕微鏡検査によって評価された。

ベルギー、ブラジル、フィンランド、ドイツ、英国の研究者を含む研究チームは、フッ化物含有リン酸塩富化生体活性ガラスが、脱灰象牙質コラーゲンの酵素媒介分解の抑制においてより効果的であるとともに、生体活性もより高いことを確認した。研究主任を務める、CEUカルデナル・エレラ大学(所在地:モンカダ)のSalvatore Sauro教授と研究チーム員は、次のような説明を行っている。「これは主に、フッ化物イオンと、樹脂材から放出される多量のリン酸塩によるものであり、それらは象牙質の再石灰化を促進するとともに、マトリックスメタロプロテイナーゼとシステインカテプシンの阻害により、脱灰象牙質コラーゲンの分解を低減した。したがって、この種の実験用生体活性材は、う歯の臨床治療のための新たな歯科用修復材の開発により適するものである」

本研究の表題は、『Effects of composites containing bioactive glasses on demineralized dentin(生体活性ガラスを含有する複合材が脱灰象牙質にもたらす効果)』であり、『ジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ』での掲載に先立ち、2017年5月23日にオンラインで発表された。

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