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膵臓がんリスク増を示す口腔内細菌

口腔内細菌の変化に対する評価は、個人の膵臓がん発症リスクの測定に使えるかもしれない。(Photograph: Piotr Marcinski/Shutterstock)

米・ニューヨーク:膵臓がん発症のリスクは、口腔内の特定の細菌に関連していることがわかった。研究者らは、この知見が膵臓がんの早期で的確な治療を実現することを望んでいる。膵臓がんは、男女ともに最もがん死亡の多い疾患で、米国だけで毎年4万人が死亡している。

 これまでの研究で、膵臓がん患者は概して、歯周病、う蝕(虫歯)、口腔衛生不良になりやすいことが示されてきた。そのため、ニューヨーク大学ランゴンメディカルセンターの研究者チームは、口腔疾患をもたらす細菌構成と、それに続く膵臓がんの発症との直接的つながりを調査した。

 研究者らは、361人の膵臓がんを発症した男女から採取した洗口液試料中の細菌の内容を、年齢、性別、種族的出身が合致する371人の膵臓がんを発症していない人の試料と比較した。口腔内微生物叢に歯周病の主因となるPorphyromonas gingivalisを含む男女は、同バクテリアを含まない人と比較して膵臓がん発症リスクが59%高かった。同様に、口腔内微生物叢に重症歯周炎に関連するAggregatibacter actinomycetemcomitansを含む人は、発症リスクが少なくとも50%は高い可能性があった。

 「この研究は、高齢、男性、喫煙者、アフリカ系アメリカ人、膵臓がんの家族歴有り、という人において、口腔内細菌叢の特定の変化が膵臓がん発症のリスク要因になることを意味した、初めての直接的なエビデンスをもたらした」と、上級研究員で疫学者のDr. Jiyoung Ahnは述べている。

 先月著した別の研究でAhnらは、喫煙が口腔内細菌叢の細菌構成や菌数に劇的かつ可逆性の変化をもたらすことを示した。しかしながら、因果関係があるかを確定したり、喫煙に関連する変化が免疫システムを変えるのか、あるいは、膵臓でがんを引き起こす活動のトリガーになるのかについて、さらなる研究が必要だと注意をうながしている。

 この研究は4月19日、ニューオーリンズで開催された米国がん研究協会(AACR)年次集会で初めて報告された。

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