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潜む危険:根尖性歯周炎と冠動脈疾患との関連性を示した研究

根尖性歯周炎はよくみられる疾患であるが、はっきりとした症状がないのが特徴。ヘルシンキ大学による新たな知見では、本疾患が急性冠症候群の危険因子であることを示唆している。(写真:Stas Walenga/Shutterstock)
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月. 29 8月 2016

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フィンランド、ヘルシンキ: ヘルシンキ大学の新たな研究により、潜在的な根尖性歯周炎が冠動脈疾患(心血管疾患)のリスクを増大させることがわかった。研究者によれば、根尖部の感染症はよくみられる疾患で(試験群では、フィンランド人の約4人に1人がこの種の感染症の1つに罹患)、罹患していてもはっきりとした症状がないことから、多くの患者が感染に気づいていない。

口腔感染症と心疾患や糖尿病などの慢性疾患との関連性を示した研究は多いのですが、根尖性歯周炎について検討した研究はほとんどない。最近の研究では、冠血管造影検査を必要とする症状を呈する患者の58%に炎症性病変が1種類以上認められている。

「急性冠症候群の発症率は、根管治療を要する未治療の歯がある患者では、治療を必要としない患者の2.7倍となっている」と著者のJohn Liljestrandは述べている。さらにこの研究では、根尖性歯周炎を引き起こす頻度の高い細菌によって血清抗体濃度が高くなることがわかった。

この研究は、同大学の顎顔面口腔外科学分野疾患学部とヘルシンキ大学病院の循環器病研究センターとの協力により実施。平均年齢62歳の患者508例の冠動脈を検査。その結果、36%に安定冠動脈疾患、33%に急性冠症候群が認められ、31%に急性冠症候群様の症状が認められたものの、重大な冠動脈疾患ではなかった。

根尖性歯周炎は歯髄における微生物感染への免疫応答であり、通常はう蝕によって起る。研究者によれば、無症候性であることが多い根尖性歯周炎は通常、X線検査によって偶然に検出されている。この所見を踏まえると、感染歯の根管治療が心疾患リスクを低下させることが考えられる。これらの病態の関連性を確認するには、さらに研究を重ねる必要があると研究者らは述べている。

世界保健機関によると、心血管疾患は世界的に上位の死因となっている。2012年には推定で1,750万人が心血管疾患で死亡しており、これは世界的な全死亡例の31%に相当している。このうち740万人は冠動脈疾患が原因であり、670万人は脳卒中が原因となっている。

「歯周病変と冠動脈疾患との関連」という標題のこの研究は、出版に先立って7月27日にジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ誌においてオンラインにて公表。
 

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