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歯痛緩和に効く脳領域を特定する新研究

所見により、歯痛とその緩和に関する脳のメカニズムの新たな見識がもたらされた。(Photograph: Image Point Fr/Shutterstock)

米・ボストン:局所麻酔は130年以上前に歯科に導入されたが、関連する脳のメカニズムについてはほとんど知られていない。歯痛とその緩和に明確な役割を果たしていると考えられる脳領域が、新たなデータにより正確に指摘された。

 研究では、連続する不快な歯への刺激の間に局所麻酔で神経ブロックをしたあと、活動に関連する脳領域と機能的結合パターンを調べることを目的とした。研究者らによると痛みの緩和は、後部島皮質における有意な活動減少と中脳への結合の増進を伴っていた。これらの結果は、この脳領域の直接的な電気刺激が身体的な痛みの感覚を呼び起こすのを実証していた、これまでの報告を裏付けるものであった。しかし、この効果は脳の他領域では見られなかったことから、今回の調査は、後部島皮質が侵害受容のプロセスで独自の役割を果たしているという理論に、さらなるエビデンスを追加するものであった。

 プラセボ対照のfMRI研究では、28人の男性(平均年齢27歳)が参加し、左の下顎犬歯に反復的な電気刺激が与えられた。この刺激の強さは、最高が11のうちの5という評価であった。

 実験の第一段階では、5分間で30回の刺激を受けた後、参加者の半数は4%アルチカインの粘膜下注射を受け、残りの半数は塩化ナトリウムのプラセボ注射を受けた。第二段階では、歯への電気刺激は16分間行われ、その間、参加者たちはアラームボールを押して痛みの減弱を示した。その後、麻酔薬を注射する前後の脳活動が、群ごとに個人内変動で比較された。

 痛みの緩和はアルチカイン注射を受けた群で4分半後に起こったが、プラセボ群では同様の反応は見られなかった。実験の第二段階における群別の分析が示したのは、プラセボ群での(歯痛と)同側後部島皮質の顕著な活性化クラスターであった。後部島皮質をシード領域として使い、コンテキスト依存の精神物理学的相互作用の分析では、アルチカイン投与群でのみ疼痛緩和後に中脳への増強結合が顕著に生じた。これは、歯痛とその緩和における両方の脳領域の明確な役割を示唆するものである。

 "Distinct Brain Mechanisms Related to Dental Pain Relief(歯痛緩和に関連する明確な脳メカニズム)"というタイトルのこの研究は3月12日、スイス・チューリッヒ大学歯科学センターの研究フェローであるDr. Michael L. Meierによって2015年の国際歯科研究学会で発表された。

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