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歯の治癒における組織再生を亢進させる遺伝子を発見

間葉系幹細胞の活性化と再生にデルタ様1ホモログ遺伝子が不可欠であることが最近の研究から明らかになっている。この画像にその一例を見ることができる(画像:プリマス大学)
Dental Tribune International

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火. 24 12月 2019

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プリマス(英国):歯およびその他の身体組織の再生における幹細胞の有用性は多数の研究によって証明されているが、臨床現場における可能性についてはいまだに証明されていない。国際的な研究者のチームが、歯が治癒する際の幹細胞活性化と組織再生を増加させる特定の遺伝子を発見したことで、歯を修復するための新たな方法が提供される可能性がある。

この研究は、プリマス大学ペニンシュラ歯学部のDr. Bing Huの下で行われた。研究者らは、筋肉、骨のような骨格組織、ならびに歯の象牙質を構成する間葉系幹細胞の活性化と再生にはデルタ様1ホモログ(DLK1)遺伝子が不可欠であることを初めて示した。

さらに、歯の創傷治癒モデルを用い、DLK1遺伝子が幹細胞活性化と組織再生を亢進させ得ることを証明することにも成功した。これを臨床適用するには、さらなる研究が必要ではあるが、新たな歯の修復方法の土台を提供するものとなりえる。

Dr. Huは、「幹細胞は非常に重要である。なぜなら、将来実験室で幹細胞を用い、疾患によって損傷を受けたり失われたりした組織を再生できるようになる可能性があるからだ。したがって、幹細胞がどのように機能するのかを理解することが不可欠」と述べている。「歯の本体を構成する2種類の新しい幹細胞を発見し、それらが組織再生の際にDLK1を使用することが不可欠であることを証明することにより、我々は幹細胞再生を理解する大きな一歩を踏み出すことができた」

「この研究は、現段階では実験室モデルを用いて行われたものであり、さらなる研究を行った後でなければヒトへの使用に導入することはできない。しかし、将来、患者にとって大きな意味を持つ可能性のある再生医療における、ブレークスルーであることに間違いはない」と同氏は付け加えた。

「Transit amplifying cells coordinate mouse incisor mesenchymal stem cell activation」との標題で、2019年8月9日のNature Communicationsに発表。

 

出典:News Europe 2019/8/23

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