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弘岡秀明氏 & ジョバンニ セリーノ氏 対談インタビュー -Peri-implant disease Ⅱ-

木. 18 10月 2012

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弘岡秀明ペリオコース15周年記念講演会が2012年7月14日(土)、15日(日)、株式会社ヨシダ(東京都台東区)にてスタディーグループJournal Club主催により開催された。 弘岡秀明氏(東京都開業)、歯科衛生士 加藤典氏(東京都勤務)に加えて、スウェーデンから講師として招聘されたGiovanni Serino氏は、イエテボリ近郊街 ボロースにあるBorås Hospital スペシャリストクリニックの歯周病科主任を務め、日常的に歯周病やインプラント周囲病変の治療、研究にあたっている。本対談は記念講演会に伴う特別企画として、インプラント・歯周病治療先進国といわれるスウェーデンで起きている、インプラント周囲病変の問題、今後、日本で起こりうる問題点などを議題に、両氏にお話いただいた。  第2編は、「インプラント周囲病変 治療法と予防対策」です。  

 

【弘岡】
なるほど。ところで、先月(2012年6月)、
Euro Perio 7に参加していましたよね。

あのときの講演内容は、約4分の1が、インプラント周囲炎の治療法でした。

あの治療法の主な対象は、インプラント周囲病変全般?インプラント周囲炎?
また、インプラント周囲炎の治療法は、確立されているのでしょうか?

【セリーノ】
インプラント周囲病変は、2つのタイプに分けて考えます。

1つは、炎症が表面(軟組織)だけに起きるインプラント周囲粘膜炎です。

もう1つは、インプラントの深い部分に炎症が起きるインプラント周囲炎です。

 インプラント周囲粘膜炎は、歯肉炎と同じ治療法で治癒しますが、
インプラント周囲炎は、受診したときの、炎症の進行によって予後が異なります。

 骨欠損が2~4mmの場合、インプラント周囲炎治療の成功率は、70~80%まで上がり、
良好な再建が得られる可能性が、高くなりますが、

手術時点で骨欠損が5~6mm以上だと、現在の技術では治療困難となります。

いずれインプラント周囲炎治療のために、より優れた技術や材料の開発が必要です。

【弘岡】
現在、インプラント周囲炎治療は困難で、粘膜炎は比較的簡単ということですね。

【セリーノ】
ええ。粘膜炎は簡単です。

インプラント周囲炎は、治療できる可能性はあるけれども、
簡単という言葉は使えません。きわめて複雑な手術になります。

【セリーノ】
でも、骨欠損が小さければ、治療不可能ではありません。

【弘岡氏】
この種の病変を予防するために、患者側でできる良策はありませんか?
【セリーノ】
あります。患者側の対策としては、
定期的なメインテナンスに通うことです。

インプラント埋入時、骨の量と質を的確に選択して手術をすることが重要で、
正しい位置にインプラントを埋入すれば、上部構造は磨きやすいものが出来ます。

また、上部構造を取り外して、定期メインテナンスが可能となります。

歯科衛生士が定期的にコントロールすれば、感染予防が可能になります。

【弘岡】
患者自身に、口腔内を清潔に保つように指導するのは?

【セリーノ】
ええ、歯周病と同じで、患者の動機付けは重要です。

自分が装着している上部構造には、専門家の効果的なクリーニング管理が必要、
そのことを、患者自身が、自覚する必要があります。

【弘岡】

そのとおりですね。
【セリーノ】

ええ。

 

弘岡氏×セリーノ氏 Special Inteview シリーズ

Dr. Hirooka × Dr. Serino  Peri-implant disease Ⅰ 「インプラント周囲病変 多発要因と上部構造」
Dr. Hirooka × Dr. Serino  Peri-implant disease Ⅱ 「インプラント周囲病変 治療法と予防対策」
Dr. Hirooka × Dr. Serino  Peri-implant disease Ⅲ 「インプラント周囲病変 対処法とトレーニング」
Dr. Hirooka × Dr. Serino  Peri-implant disease Ⅳ 「インプラント周囲病変 治療計画とフォローアップ」

INFORMATION
弘岡秀明ペリオコース15周年記念講演会に関するレポートは、
医歯薬出版社「歯界展望10月号」に掲載されます。ぜひご覧ください。
タイトル:弘岡秀明ペリオコース15周年記念講演会「インプラント周囲病変への対応」
執筆者:冨岡栄二・鶴屋誠人
掲載誌:歯界展望 120巻4号(2012年10月号) 764-765ページ

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