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ディズニーのチームがスマートフォンを使って本物に見える歯を作成

ディズニー・リサーチのチームは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、マックス・プランク情報科学研究所と協力し、口と歯をレンダリングしてリアルな表情を作成する新しい手法を開発した。(スクリーンショット:Disney Research Zurich)
Dental Tribune International

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金. 13 1月 2017

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スイス、チューリッヒ:ディズニー・リサーチのチームは、わずか数枚の口の写真や短いスマートフォン動画を使ってデジタル俳優の歯をリアルに再現するモデルベースの手法を開発した。この新技術があれば、画像のなかで一部の歯が口角や他の歯にさえぎられて見えない場合でも、歯をデジタル処理で再現できるようになる。

近年、アニメーションのために人間の顔を精巧に再現する画像ベースの手法が開発されている。これらの手法は、顔全体または顔の特定部位(毛髪、眼、まぶたなど)の非常に詳細な静的または動的形状をキャプチャーする。このような手法が開発されていても、一般には口腔、特に歯をキャプチャーする画像ベースの手法にはほとんど関心が寄せられてこなかった。

歯の正確なレンダリングは、デジタル処理でリアルな表情を作成するのに不可欠である。現在、高品質な顔のアニメーションは、手作業で作られた歯列モデルに頼っている。歯科の口腔内スキャナーが、あまりにも侵襲的かつ高価で、使いづらく手に入れにくいからである。

ディズニー・リサーチのチーム(ウォルト・ディズニー・カンパニーをサポートする研究所のチューリッヒを拠点とするネットワーク)は、現在、たった1組の口の写真からその人物固有の歯列全体を非侵襲的に再現する初めての方法を提示している。その方法は、高品質な歯のスキャンから新しいパラメトリック歯列をベースにしている。この新しいモデルベースの再現方法は、歯を写真にフィットさせ、それによって目に見える歯を正確に適合させ、咬合している歯を本物らしく合成する。この手法はさらに、通常のキャリブレーションされていない写真や、携帯電話で撮った短い動画からでも、高品質な歯のモデリングを可能にする。

ディズニー・リサーチの科学者、Thabo Beeler氏によれば、これまで、白い歯をリアルに見せるものが、歯の画像キャプチャーを困難にもしていることから、カメラベースの再現には問題があった。さらに口腔全体をキャプチャーするため、カメラの視界をさえぎらないよう大きく口を開けさせることは困難である。「良い面としては、柔軟性がないため、形状の個人差が扱いやすいのです。それはつまり、歯の統計学的モデリングがうまくいくということです」とBeeler氏は語る。

この手法を開発するために研究者らは、まず歯科領域で集められた86人の異なる歯列の高解像度3Dスキャンを使ってヒトの歯列モデルを構築した。このトレーニングデータから、平均的な歯列モデルを作り、歯ごとに形状と間隔の自然のばらつきを算出した。

歯の詳細な描写は技術的に非常に難しいが、研究者らは、歯が接触し合うところの歯の縁、歯肉、口唇を識別する方法を開発した。これらのアウトラインを、自然なポーズの人物の口を異なる角度から撮った数枚の写真、またはスマートフォンを左右に動かして撮った動画から入手することで、その人物の歯にモデルをフィットさせることができる。

この方法により、カメラの視界から完全にさえぎられた歯を含め、歯列全体をモデルから再現することが可能となる。最終的には、再現した歯にその人物の歯の自然な色を重ね合わせることで、リアルに見える歯のセットが完成する。

「研究者としての私の血を騒がせるのは、バーチャルで一緒に仕事をするために、本物の人間を逐一コピーしたデジタル人間を創り出すことです」。Beeler氏は2015年にDental Tribune Onlineとのインタビューでこのように説明している。「人間の目は、顔の構造に関してはきわめて敏感です。私たちは生まれたときから顔を観察し、社会的コミュニケーションは顔の細部に大いに影響されます。そのため、私たちの研究グループは、これらの細部のキャプチャーに細心の注意を払うようにしているのです」。

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