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コンポジットレジン修復のリペア

上顎右一番二番に不良修復物が認められる。上顎右一番はrefurbishで、上顎右二番は補修修復で対応することとした(写真提供:日本大学歯学部 保存学教室修復学講座 黒川弘康 宮崎真至)

金. 15 7月 2016

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コンポジットレジン修復の問題点 コンポジットレジン修復は、接着技術の進歩によって、術後知覚過敏、あるいは脱落などの不快症状が減少している。一方、本修復における予後の問題点として、オーバーフィリングに付随する辺縁着色、あるいは wear による表面摩耗と光沢度の消失など、審美性の低下に関する事項が指摘されている。これら修復物表面に限局した不快事項に対しては、ミニマルインターベンションの観点から、その程度によって再研磨(refurbish)、あるいは補修修復が選択される(図1a~i)。

refurbishでの対応

修復物周囲に生じたオーバーフィリング部における着色、あるいは温熱刺激とともに摩耗や咬耗に伴って生じる光沢感の低下など、修復物表面に限局するとともに、その外形を変更することなく対処可能な問題には、refurbishを行う。
オーバーフィリングで生じた辺縁着色は、歯質を傷つけないように留意して、その部をカーバイドバーを用いて削除する。コンポジットレジンのヌープ硬さは40~60程度であるのに対して、エナメル質のそれは300~350であり、エナメル質へのダメージを最小限にすることができる。また、コンポジットレジン研磨用シリコーンポイントを、回転数と研磨圧とをコントロールしながら使用することで、解剖学的形態を損なわずに光沢感を回復することができる。

補修修復での対応

コンポジットレジン修復物で、あきらかな形態変化を伴った表面摩耗、あるいは辺縁性二次う蝕など、refurbishで対応が困難な症例においては、補修修復が適用となる。
補修修復の対象となる被着面は、これが歯質とコンポジットレジンとによって構成されているところから、それぞれに適した処理法を選択する必要がある。とくに、補修対象となるコンポジットレジンには、新たに塡塞されるレジンペーストと化学的接着を形成するために必要な未反応モノマーが存在しないので、機械的な嵌合を得ることを考慮するとともに、化学的な接着を獲得するための前処理を考慮する必要がある。
機械的接着のための前処理法として、周囲歯質とともにコンポジットレジン表面を一層削除した後、サンドブラスト処理を行う。この際、口腔内用サンドブラスター(マイクロエッチャーⅡA、Dunvill、モリムラ)を用いて、粒径約50㎛のアルミナ粒子を0.1~0.2MPaの圧力で2~3秒間吹きつける。サンドブラストの効果としては、表面清掃、粗面形成とともに、接着材とのぬれ性の向上などが挙げられる。この際、サンドブラストが象牙質に及ぶと、アルミナ粒子が歯質にめり込むことによって接着性が低下する可能性があるので、露出象牙質面には何らかの保護対策を講じる必要がある。
次いで、被着対象であるコンポジットレジンとエナメル質に限局してリン酸エッチング剤を15秒間塗布し、水洗、乾燥する。その後、補修対象であるコンポジットレジンにγ-MPTSを含有するシランカップリング剤、あるいは専用プライマーを塗布する。コンポジットレジンには、60~70wt%の割合で無機質フィラーが含有されているが、γ-MPTSの作用でその表面を有機質化し、レジンモノマーとの化学的接着を獲得する。
シランカップリング剤や専用プライマーは、1ボトルあるいは2ボトルを混和する製品などがあり(図2)、使用に際しては添付文書をよく確認する必要がある。さらに、ボトルの保存法の違いや使用期限にも留意する必要がある。その後の歯質接着用のアドヒーシブの塗布に関しては製造者指示に従って行う。

このように、修復物表面に限局した臨床的欠陥には、refurbishあるいは補修修復によって対処する。とくに、補修修復に関しては、そのステップが煩雑に感じられるかもしれない。しかし、補修対象であるコンポジットレジンと歯質それぞれに適した前処理を行うという基本的事項を考慮すれば、必要なステップについて、容易に理解できるはずである。

デンタルダイヤモンド社「日常臨床のレベルアップ&ヒント72」より

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