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インプラント治療はなぜ、中国で凄まじい勢いで広がっているのか?

今後2年間の市場成長が15~30%と推定される中、中国領土内での歯科インプラントは2020年までに7億米ドル相当の価値になることが見込まれる(写真:Yiucheung/Shutterstock)

月. 24 6月 2019

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インプラント治療は香港だけでなく、中国国内のあらゆる地域で急成長を遂げている。成都にある最大規模の歯科病院の1つで働くDr. Yi Man、米国のイリノイ大学シカゴ校歯学部長で世界的に有名なDr. Lyndon Cooper、そして中国のデンツプライシロナ インプラント社臨床医学マネージャClaire Li氏に中国国内でのインプラント治療の成長と進歩について聞いた。

Dr. Cooper、中国のインプラント市場でのご自身の経験を教えてください。

Dr. Lyndon Cooper:私の研究室の生徒たちから話を聞いていたので、自分では中国のことはかなり知っていると思っていましたが、最初の中国滞在は非常に興味深いものでした。当初私は、歯科医学が中国で姿を現していく場面に立ち会えると思っていたのですが、歯科医学そしてインプラント歯科医学はすでにこの国に存在していました。滞在中に訪問した診療所はいずれも真新しいものでしたし、歯科医は非常に若い。中国で最も際立っているのは、インプラント歯科医学の若々しさと新しさです。活発な専門家集団からなる国そして地域といえるでしょう。

 

中国の歯科インプラント市場はどのくらいの速さで成長していますか? その理由は?

Claire Li:市場は急激に成長しています。複数の情報源によると、ここ数年間で15~30%の成長が見込まれており、2020年までに市場は7億米ドルを超えると考えられています。インプラントの成長が際立っている主な市場は、海岸エリアの先進都市と内陸州の州都です。その背景には経済成長に伴って、より多くの人々が口腔ケアにお金を使おうと考えるようになったことがあります。次に、インプラントを用いた歯科治療がもたらすベネフィットが前よりも知られるようになったこと。そして、3点目に、インプラント歯科医療を行う歯科医の数が増えてきたことがあるでしょう。

Dr. Yi Man:今の患者さんは情報が豊富で、歯科インプラントについても知識があります。患者さんだけではなく歯科医も、インプラント治療をより身近に抵抗なく受け入れられるようになりました。

Cooper:訪問者としての私の視点からは、中国のインプラント歯科コミュニティには、とても積極的かつ情熱的な雰囲気があります。身をもって感じることができる熱気や躍動感にあふれ、また、次世代の最良のものを自身の診療に組み入れていくために、積極的にかかわりあいをもって重要な質問を投げかけています。本当に素晴らしいです!

 

そんな中国のためにも、エビデンスベースの研究継続の意味がまだあると思われますか?

Man:毎日新しい課題が生まれている状態ですから、まだまだ多くの研究が必要です。すでに数多くの症例を経験しているとはいえ、プロセスの向上や再現性がまだ求められており、研究は必須です。また私たちは、新しい研究成果に応じてお決まりの日常診療を変えていくことに、もっと寛容となる必要があるでしょう。私は、すべての最新知識を余すことなく診療プロトコルに組み入れようと試みています。このような知識は国内のインプラント業界と歯科学術領域の双方から得られたもので、継続的に新しい研究や研究の改善が進められています。このような研究のおかげで、私の診療技術はより有効かつ安全なものとなります。ですから、中国における歯科インプラント治療の改善に、研究は引き続き重要であると私は考えます。

Li:同感ですね。この学術領域に関する認識は日々拡大しており、しかもすべて良い方向に向かっています。数多くのブランドが生まれては消えていますが、中国国内のより多くの歯科医が、長い実績のある科学的に裏付けられた製品の重要性に気づき始めています。インプラント歯科医に自社製品のベネフィットを話すのであれば、今日では、非常に高い頻度で根拠を示す資料を提供するよう依頼されると思います。間もなく患者も同じことに気づき、科学的根拠に裏付けられた実績を伴う高品質インプラントを求めるようになるでしょう。従って、エビデンスベースの研究は、今日の、そして将来の中国市場での成功にとって不可欠なものです。

 

今から5~10年後、中国および、その他の国でのインプラント治療にはどのような展望がみられるでしょうか?

Man:大きな違いは治療効率の分野にあらわれると思います。現在、患者さんは1カ所の治療につき、少なくとも4~5回通院する必要があります。将来的には、治療手順はもっと速やかになり、かつ経過の予測性も高まるでしょう。5~10年のうちに、すべてデジタル化され、インプラントの埋入や修復をバーチャルで即座に確認することができるようになるのではないでしょうか。すでに、日々急速な変化が始まっていると思います。

Li:そうですね、デジタル化が席巻するでしょうね。簡単かつ時間の節約になります。また、製品というのはソリューションの一部にすぎないので、スマートプロダクトに代わってスマートソリューションが広まると思っています。さらに、クリニックと歯科技工所では異なる設備を要することから、単純な作業にはチェアサイド・ワークフロー、そしてより複雑な症例にはクリニックからラボへの連携という手法を用いるようになると思います。そして、最後に、審美的でない笑顔を良しとする人が、患者さんの間でも歯科医の間でもますます減っていくだろうという単純な理由から、審美的な要素と機能的な要素が互いに切っても切れない関係になるでしょう。

Cooper:ええ、完全デジタル化ですね。デジタルデンティストリーが私たちの将来の姿です。アナログよりも、デジタルデンティストリーの方が優れている。正確だし、アナログ技術で得られるよりもはるかに価値のあるコミュニケーションを可能にします。クリニックを受診する患者さんのほとんどは歯科インプラントではなく、歯を求めて来院します。しかも、彼らは同じような歯を取り戻したいと思っているのではなく、前より優れた歯を所望しているのです。ですから、審美性は常に重要となるでしょう。審美性と機能そして健康のバランスを達成するためにも、我々は慎重を期さなければなりません。だからこそ、包括的な治療計画を立てること、そしてデジタルプラットフォームにさまざまな意見を取り入れることが、成功の鍵になると思います。

出典:News Asia Paci_c 2019/4/11

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