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インタビュー:日本の若い女性に広まる 「付け八重歯」の美意識とは

Dental Tribune Japan

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水. 12 2月 2014

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最近、日本では八重歯の女性の魅力に憧れる若い女性たちが「付け八重歯」をアクセサリー感覚で装着している。欧米では、不完全な歯と言われる八重歯が、なぜ日本の若い女性の間で人気を集めているのだろうか―。彼女たちの希望を叶え、約500名に「付け八重歯」を施術した歯科医師であり、付け八重歯アイドルグループのプロデューサーでもあるデンタルビューティーサロン Purecure 院長 増岡太郎氏に話を聞いた。 

Dental Tribune Japan:欧米では「八重歯は不完全な歯」とされますが、日本では「付け八重歯」が人気を集めていますね。その魅力とは何でしょうか。海外読者にご説明下さい。

増岡太郎氏:日本では1970年頃から、八重歯の女性アイドルがデビューするなど、「八重歯はかわいい」との美的感性を持つ方が多く、その感性は新しくもおかしくもありません。
日本には古くから「崩しの美学」があり、1500年代の茶人 千利休が欠けた茶碗に「趣がある」と評するなど、左右対称で端正な美しさがある一方、非相称な「美」を見出すことがあります。付け八重歯もこの価値観に似ていると思います。
日本の若い女性の間では、つけまつげ、カラーコンタクトなどの装飾が一般的となり、次に向かった先が「歯の美容」だったのでしょう。米国では「正中離開(すきっ歯)」はお金が貯まり縁起が良いとされます。国によって価値観や美意識が違うこともあるのでしょうね。

 

―「付け八重歯」は固定式と可撤式が選べるのでしょうか。侵襲的な治療なのでしょうか。

固定式(半永久的な治療)と可撤式、どちらかを選ぶことができます。侵襲的ではありません。
固定式の場合は、コンポジットレジンやラミネートベニアなどを応用しています。

可撤式の場合は、作製した付け八重歯を、患者自身が義歯安定剤などで装着してもらいます。

 

―「付け八重歯」は男性ではなく、女性が興味を抱く理由はなぜでしょうか。

日本では、八重歯の女性は「幼い、かわいい、小悪魔的」といった印象を与えます。
一般的に「幼い、かわいい」印象の女性は好感度が高く、若い女性は「小悪魔的」な印象にも憧れます。「付け八重歯」はこのような効果に期待ができるのでしょう。
女性の多くはアクセサリーや化粧で装飾しますよね。ピアス、つけまつげ、カラーコンタクトのように“アクセサリー感覚”で付けているのだと思います。
 

―日本の流行は海外に大きな影響を与えます。欧米の歯科治療に“付け八重歯”が持ち込まれると思われますか。

八重歯の日本人女性アイドルの写真を見て「かわいい」「不快」を選ぶアンケート調査を行った方の結果によると、欧米の方でも「かわいい」の回答数が多かったそうです。
いわゆる「クールジャパン」のように、日本のファッションや価値観が世界に広がることはあるでしょうし、実際、当院には台湾から来院された方もいます。
 

―「付け八重歯」のトレンドはどれぐらい継続することを期待しますか。

トレンドではなく、つけまつげなどの定番商品のようになると良いなと思います。
「きれいな歯並びを望む方」「八重歯でかわいくなりたい方」―どちらもそれぞれが望む「美」を手に入れられるといいですよね。私は「付け八重歯」の技術でもある直接法で、きれいな歯並びを望む方の施術も行っています。この技術はどちらにも応用できます。


―1日何人施術されていますか。患者の年齢層を教えてください。

当院設立後約2年間の施術患者数は500人以上です。1日平均1人に施術した計算になります。年齢層は14~40歳で10代後半から20代の女性が中心です。

 

―「付け八重歯」患者への注意事項はありますか。
八重歯はそもそも磨きにくい部分です。歯周病や歯肉炎を引き起こさないために、念入りな歯磨きをすること、口内炎になりやすい方は、八重歯があたる部分に炎症を起こすことがあると事前に伝える必要があります。

  

―付け八重歯のアイドルグループをプロデュースされていますが、どのように両立されていますか。

付け八重歯アイドルグループは現在2名で本業は学業です。フルタイムで活動しているわけではありません。毎月1回程度、ライブイベントやレコーディング、メディア出演などを行っています。プロデュースの面では楽曲製作を休診日に行い、診療日にイベントの監修で同行することがあれば、その日は休診しています。
  

―歯科治療における今後の展望をお聞かせください。

日本では、審美歯科と聞くと健康な歯を削ってセラミックを被せる侵襲的なイメージを抱く方が多いと思います。しかし、「付け八重歯」はCR直接法を用いていますし、ラミネートベニアなど、削らない審美治療も確立されつつあります。

そもそも、歯科医院は痛くて怖いと思われがちです。「付け八重歯」はオシャレの一環ですが、違った角度からでも歯科医院へ気軽に来院されるような意識改革を行い、口腔衛生の向上に貢献できればと考えています。

 

貴重なお話をお聞かせくださり、誠に有難うございました。

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