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インタビュー:「抗生物質耐性は深刻な健康問題である」

抗生物質の乱用が抗生物質耐性の増加につながっている。(写真:one photo/Shutterstock)
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金. 16 12月 2016

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現代医療において抗生物質の使用は不可欠であるが、頻繁な乱用がその有効性を低下させている。この問題に対する一般人の理解を深めることを目指し、今年の世界抗生物質啓発週間(World Antibiotic Awareness Week:WAAW)が11月14日~20日に開催された。Dental Tribune Onlineは、オーストラリア歯科医師会(ADA)歯科治療委員会議長、Dr. Paul Sambrookにインタビューし、WAAWの目的と、抗生物質耐性に対して歯科医療従事者ができることについて話を聞いた。

Dental Tribune Online:WAAWの主な目的は何ですか?
Dr. Paul Sambrook:WAAWの目的は、地球規模の抗生物質耐性に対する意識を高めること、今後の抗生物質耐性の出現と蔓延を回避するため、一般市民、医療従事者、政策立案者らの間で最良の方法を奨励することです。

Dental Tribune Online:オーストラリアでは、抗生物質の乱用や過剰使用の問題はどの程度広がっているのですか?
Dr. Paul Sambrook:オーストラリアで処方されるすべての抗生物質のうち、歯科医師による処方は3%未満です。しかし、NPS MedicineWiseの情報から、オーストラリアが世界でも処方率が特に高い国の1つであることがわかっており、毎年およそ2,900万枚の処方箋が発行されています。平均すると1人あたり1枚よりも多いのです。抗生物質耐性は、すでに私たちの日常生活に存在する深刻な健康問題です。かつては抗生物質を使わずに容易に治療できた感染症が、今では患者を死に至らしめる可能性があるのです。

抗生物質耐性に対処しなければ、治療不可能な感染症により、2050年までに毎年最大1,000万人が死亡するかもしれません。

Dental Tribune Online:ADAはWAAW期間中、どのように関わり支援していましたか?
Dr. Paul Sambrook:今年のWAAWの連続テーマ「抗生物質:取り扱いは慎重に(Antibiotics: Handle with care)」は、歯科に大いに関連性があります。歯科疾患のある人々は、歯科医師の適切な診察を受けるよりも、むしろ鎮痛剤を飲んだり抗生物質をもらいに医師のところへ行ったりするのが最善の対応だと考えることがあります。

ADAは、抗生物質耐性の問題に対処するために、定期刊行物とウェブサイトの情報記事を通して会員に助言することで大きな役割を果たしています。ADA会員は、非常に経験豊かな臨床薬剤師であるDr. Geraldine Mosesに、処方について専門家としての助言を求めることができます。私たちはまた、歯科口腔治療ガイドラインを会員に提供しています。このガイドラインは、信頼できる独自の治療情報を提供し、歯科治療の現場で患者にとって最良の診断を下すのに役立ちます。

Dental Tribune Online:歯科医療従事者は、抗生物質耐性増加のリスクを最小限に抑えるために、どうすれば役に立つことができるでしょうか?
Dr. Paul Sambrook:歯科疾患に対する最初の対応として、常に、症状だけでなく、原因に対処できるよう歯科医師が正確な診断を行わなければなりません。それが、患者に対する私たちのメッセージとなります。

私たちは、歯科疾患に対処する方法について、また特定の症例に抗生物質が適合する場合とそうでない場合について、治療の前後に患者に説明をするよう、歯科医療従事者に呼びかけています。

ADA会員は、歯科医療従事者が最善の方法に従って抗生物質を適正に処方できるように、臨床薬剤師によるアドバイスなどのサービスや、前述の治療ガイドラインを利用できます。

Dental Tribune Online:インタビューにお答えいただき、どうもありがとうございました。

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