DT News - Japan - 【企業トップに聞く】より優れた治療結果のために 治療の進化を支えるデンタルソリューション

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【企業トップに聞く】より優れた治療結果のために 治療の進化を支えるデンタルソリューション

北本 優子 デンツプライシロナ株式会社 代表取締役社長 (きたもと・ゆうこ) 大学卒業後、アメリカ系企業の営業業務を経て、英国メジャー企業BPジャパンの戦略・事業計画に従事。2005年から、BP本社勤務となりロンドンに駐在し事業統合を担当。帰国後の2009年、シロナデンタルシステムズ株式会社の最高執行責任者に就任。2013年、同社代表取締役社長。シロナデンタルシステムズ株式会社とデンツプライ三金株式会社の合併に伴い、2017年にデンツプライシロナ株式会社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。
Blanc Networks,Inc Japan

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火. 26 6月 2018

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2016年2月、デンツプライ・インターナショナルとシロナデンタルシステムズの対等合併が完了。現在、世界中で毎日、60万人の歯科医療従事者が、600万人の患者さんに製品を使用しているという、世界最大級の歯科用材料・機器メーカーとなったデンツプライシロナ株式会社。そこで今回は、2017年1月から日本法人の新社長に就任した北本優子氏に、アメリカ本社も注目する日本市場で、どのような手腕を発揮するのか伺いました。

モノづくりのドイツと技術のアメリカが融合

Dental Tribune Japan:デンタル・ソリューション・カンパニーというタグラインを掲げていますが、どのような会社でしょうか。

 

北本社長:当社は歯科用材料で有名なデンツプライと、歯科用機器で有名なシロナデンタルシステムズが合併したことにより、「予防」から「保存」「矯正」「部分補綴」「欠損補綴」まで、すべてのステージでの機器と材料をそろえることができました。

しかも物だけでなく、アメリカは昔から消耗品をより良いものに改良していく技術があり、ドイツは精密機械に代表されるようにモノづくりとしての歴史があり、こうした多様な文化と技術が融合した、非常に刺激に富んだ環境にある会社です。

合併により、アメリカやヨーロッパのみならず、中近東やアジアまでの世界戦略を展開しています。我々のCEOであるドナルド・ケーシーは、成長していく市場には大きな投資をするという考えです。当然アジア、中でも日本に対する投資も大きく、我々としては大変楽しみな成長戦略を展開できると期待しています。

 

今、特にフォーカスされている分野は何でしょうか。

 

特にフォーカスしている分野は「予防」です。すべての患者さん、国民にとって、歯科予防は非常に重要なテーマです。高齢社会においては、まだまだ予防に力を入れていかなければならないでしょう。

デジタル・デンティストリーとして、すべての分野にデジタル技術を駆使し、最良のソリューションを提供してきましたが、我々が合併していなければ、予防の分野までは網羅できませんでした。今、予防製品にもデジタル技術を応用し、特に口腔内の健康増進を担う予防療法に欠かせない超音波スケーラーも、Cavitron Touch(カコミ参照)などの改良された機能性の高いものを提供しています。

一方で、高度な技が求められる修復の方法には、アナログの製品もそろっています。これらのすべての製品がそろったことで、我々のミッションである「歯科医療従事者により良い、より安全で、より早いデンタルケアを提供する」ことができるという確信があります。

 

 

次世代を担う歯科医師の育成をサポートする

御社は製品開発だけでなく、セミナーや講演会など、教育にも力を入れているそうですが、具体的な活動を教えてください。

 

日本の歯科の先生方は、とてもよく勉強されているので、日本の先生方に我々の製品を選んでもらえることに誇りをもっています。次の世代を担う歯科医師の育成をサポートする目的で、日本歯科医師会の「歯学教育支援プログラム」を23年前から後援しています。

このプログラムは、昨年は歯科大学・歯学部28校が参加し、学生が英語でポスター発表を行います。1位の受賞者はアメリカへ派遣し、国際歯科研究学会米国部会が主催する学術大会で発表します。

また、ドイツの本社では「デンタル・アカデミー」を開いており、KOL(キーオピニオンリーダー)の先生方がライブでインプラントの治療を見せたり、CAD/CAMの使い方を説明したりしています。今後はそれを日本でも開催し、さらにグローバルに発信できるような内容を計画中です。

 

他の診療領域との連携、例えば医科歯科連携などでの展開はいかがでしょうか。

 

高齢社会を迎え、口腔内の健康と全身疾患の関係が、非常に注目されてきています。我々も歯科領域にとどまらず、医科との連携がとても重要だと認識しています。例えば、デンツプライシロナの歯科用CTによる画像診断を耳鼻咽喉科領域と連携することで、現在日本に400万人もいるといわれている睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんの診断にも応用が可能になります。

また、メタルフリーの実現は、皮膚疾患の予防につながります。メタルフリーが一部保険適用になったことで、我々も質を落とすことなく、保険でも自費に劣らないソリューションを提供することが可能になりました。

 

 

社員と一緒に成長し、成功への舵取りを行う

経営者として心がけていることは何ですか。

 

1点目は「歯科医療従事者により良い、より安全で、より早いデンタルケアを提供する」というミッションを遂行することです。

2点目は“人財”です。ソリューションというと製品と思われがちですが、どんなに製品がよくても、その製品に愛着がなければ売ることはできません。そのために経営者として「“人財”をどうするか」が最も大切で、どこに向かっていくのかの舵取りと、それが「あなた」にとってどういう意味があるのかを、しっかりと示せることだと思います。

当社には年齢も経験も変化に富んだ600名以上の社員が在籍しており、いろいろな見方、意見がありますが、経営者としての責務は、さまざまな意見や見方のバランスをとり、成功への舵取りをしていくことだと考えています。

もう一つ、日本では以前から、エンドユーザーとしての歯科医師と特約店との間に、強い関係があります。これからもお互いに良い結果が出せるようパートナーシップをより強化していきたいと思います。

「女性経営者として」ということをよく聞かれますが、私は男性経営者と変わりはないと思っています。ただあえていうなら、例えば、女性の体力は男性よりもないと思いますが、そうした弱みを女性は自ら把握し受け入れる姿勢をもっている、ということではないでしょうか。だからこそおごることなく、今恵まれている人財や製品とともに、日本の歯科医療従事者のお役に立てればという思いで、これからも邁進していきたいですね。

 

インタビューへのご協力、ありがとうございました。

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