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歯周病菌の副生成物に潜在的HIVの再活性化を促す可能性

歯周病のあるHIVの人々は、健康な歯肉のHIV患者に比べて唾液および血漿中のウイルスレベルが高い。(Photograph: Sherry Yates Young/Shutterstock)

米・クリーブランド:米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究者らは、歯周病に関与する細菌の副産物が、休眠T細胞中のHIVを再活性化し、ウイルスの複製を引き起こすことを発見した。この発見は、重度の歯周炎のあるHIV患者の唾液および血漿中の残存ウイルスレベルがなぜ高いかの説明に役立ち、HIV患者が歯周病治療により有意に利益を得られることを示唆している。

 この研究は最近Virology journal誌に掲載されたが、特に歯周病原菌の代謝短鎖脂肪酸を調査したもので、研究者らは5種類の短鎖脂肪酸の副生成物である2種類の優勢な口腔細菌(Porphyromonas gingivalisとFusobacterium nucleatum)が、潜在的HIV-1を有するT細胞の活性化に関与するのを観察した。

 共同研究者である同大学歯科医学校助教のDr. Fengchun Yeによると、全てのヒトは休眠T細胞のリザーバーを持っており、体内の感染を回避するための炎症に応答して活性化するが、健康な人々のT細胞とは対照的に、HIV感染者ではT細胞が潜伏的HIV-1ウイルスを運んでしまうのだという。細菌の副生成物はバッテリーが上がったときのブースターケーブルのような働きをする、とYe氏は説明している。

 調査結果は、研究の少ないHIV疾患における微生物叢の包括的な理解に貢献し、HIV保有の歯科患者にとって細菌感染症の早期治療がとても重要であるという考えを支持するものである。

 "Short Chain Fatty Acids Potently Induce Latent HIV-1 in T-cells by Activating P-TEFb and Multiple Histone Modifications(短鎖脂肪酸はP-TEFbおよび複合的ヒストン修飾によりT細胞中の休眠HIV-1を強力に誘導する)" というタイトルのこの研究は、Virology journal誌の1月号に掲載された。

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