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ドイツ、ミュンスター:抗生物質耐性の拡大は、医師や病院にとって深刻な問題となっている。このことは、とりわけさまざまな疾患の治療のため、抗生物質の使用が増加していることに起因する可能性があり、このような場合でも、別の治療法が考慮されていないこともある。歯科では、歯周炎を治療するために抗生物質が使用されることが多い。重度の歯周炎治療での抗生物質の有効性は多くの臨床試験によって証明されている。しかし、ドイツの科学者らによる最近の研究では、中等度の歯周病の症例には抗生物質を使用せずにすむことが多くなる可能性が示唆されている。
この研究では、ドイツの8つの大学病院の研究者らが、中等度から重度の歯周炎患者406例における歯周病の進行とその結果として生じる骨量減少について、27.5ヵ月にわたり調査した。研究の参加者は、機械的デブライドメントによる治療を受け、その半数が同時に抗生物質療法を受け、残りの半数はプラセボを投与された。3ヵ月ごとに患者は再評価され、維持療法を受けた。
研究者らの目的は、疾患進行および今後の歯のアタッチメントロスに対する抗生物質の効果を検討することであった。研究者らは、抗生物質が投与された患者がプラセボを投与された患者と比較して、やや良好な結果を示したものの、抗生物質を使用した治療も使用しない治療も疾患進行の予防に有効であることを見いだした。歯周病の進行は抗生物質投与群患者の5.2%、プラセボ投与群患者の7.6%にみられた。その後、アタッチメントロスを示した部位の割合は、抗生物質投与群で5.3%、プラセボ投与群で7.8%となった。
研究者らは、この研究の最新のサブ解析を行い、根分岐部病変に対する抗生物質の効果をさらに検討した。根分岐部欠損は、歯周炎患者にしばしば見られる骨量減少の一形態である。歯周炎に冒された多根歯では、歯周組織が歯根間で垂直方向のみならず水平方向にも破壊され、根分岐部病変を引き起こす。サブ解析によれば、先の試験結果と一致して、根分岐部の特定のパラメーター(プロービング時の出血、歯周ポケットの深さの減少、アタッチメントゲイン)は、抗生物質投与群がプラセボ投与群と比較して、わずかに大きな改善を示したが、2つの群で根分岐部欠損の分類の変更に差はなかった。
このため研究者らは、抗生物質を投与された患者では全体的なアウトカムはやや良好であったものの、歯周炎患者に対する抗生物質療法には臨床的に意義のある長期的ベネフィットはないと思われるとの結論を下した。論文著者であり、ミュンスター大学病院歯周病学・歯科保存学科の長であるBenjamin Ehmke教授は「この臨床試験の参加者に抗生物質療法を追加しても、疾患進行に関するベネフィットはごくわずかでした」と述べる一方、歯周病の特定のパラメーター、特に歯周ポケットの深さは、抗生物質投与群のほうが大きな改善を示したと述べている。また、「これらのパラメーターをどう評価するかにもよりますが、歯科医師は、抗生物質の使用を大幅に控える決断を下すことができます」とDental Tribune Onlineに語った。
Ehmke教授は、このことは特に中等度の歯周炎患者にあてはまるとしたうえで、「口腔衛生と予防策は、炎症の重症度に大きな影響を及ぼします」と述べた。また、「『通常の』疾患進行を示す中年の患者では、ほとんどの場合、抗生物質を使用しない治療で十分です」と、同教授とその研究チームは、年齢および全体的な歯周炎リスクによる個別の歯周治療を推奨している。しかし、「重度かつ侵襲型の歯周炎に冒された患者は例外です。そのような患者に対しては、これまでどおり抗生物質が第一選択の治療となります」とEhmke教授は語った。
サブ解析は、「根分岐部病変は補助的なアモキシシリンとメトロニダゾールの全身投与によって影響を受けるか? 臨床試験の探索的サブ解析(Is furcation involvement affected by adjunctive systemic amoxicillin plus metronidazole? A clinical trials exploratory subanalysis)」と題され、Journal of Clinical Periodontologyの2016年10月号に掲載された。最初の研究は「歯周炎の進行は抗生物質の全身投与によって意義のある影響を受けるか? 無作為化臨床試験(Is progression of periodontitis relevantly influenced by systemic antibiotics? A clinical randomized trial)」と題され、同ジャーナルの2015年9月号に掲載された。
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