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フッ酸を使わず、ガラスセラミックスの接着面処理を1本で!!

木. 13 10月 2016

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術者のストレスを大幅に軽減 ガラスセラミック修復における接着材料は、各メーカーから毎月のようにリリースされており、その選択基準は術者によってさまざまである。筆者は部位に応じて、操作が簡便なもの、色調選択が必要なもの等々を考慮して選択している。そして、接着強度は最も重要である。

複数本のセラミックスを同時に接着しなければならないときに、アシスタントの手を借りるわけであるが、ガラスセラミックスの内面処理に関してきちんと教育していても、接着時に「ハイ、~秒ね。ハイ、水洗ね。液を飛ばさないでね」と、しつこく指示するのが常である。ましてや、ラボサイドで毒性の強いフッ酸を扱うときは、グローブにフッ酸がついてないか、水洗時の液が患者の洋服に付いてないか、スタッフや術者のユニフォームに飛ばしてないか等々、少しでも接着操作でのストレスを減らしたいと思うのは、歯科医師にとって皆同じ心境ではないだろうか。

 

昨年発売された「モノボンド エッチ&プライム」(lvoclar Vivadent:図1)は、いままでのガラスセラミックスの接着操作の手順を減らし、かつフッ酸の扱いから解放され、接着強度は維持したまま、術者の心理的ストレスを大幅に軽減することを可能にした。
また、使い慣れた小ボトルのため、液の出しすぎも気にならず、フッ酸を個人輸入する煩雑さやそのコスト削減をも可能にした。

モノボンド エッチ&プライムの特徴
モノボンド エッチ&プライムは、1ステップでエッチングとプライミングができる一液性プライマーである。同時に接着面に付着した汚染物をクリーニングできる。表1に、モノボンド エッチ&プライムの特徴を示す。

モノボンド エッチ&プライムの操作ステップ
従来はガラスセラミックス内面に対して、「フッ酸処理+水洗+乾燥+ポーセレンプライマー+乾燥」というステップであったが、モノボンド エッチ&プライムを塗布すれば「エッチング+ポーセレンプライマー」までの処理が終了できる。
試適後に修復物を水洗・乾燥してから使用し、煩雑なステップを1液で完結できる。ガラスセラミックスの種類を問わず、同じ方法で使用できるのもシンプルでよい(図2)。

モノボンド エッチ&プライム使用後の修復物の強度
図3のように、フッ酸による過エッチングにより、修復物接着面の粗面が深部まで形成され、修復物そのものの曲げ強度が低下する。
図4には表面粗さの比較を示す。長くエッチングすると、結晶をよけるようにエッチングが進む。
修復物表面のエッチングパターンが深くなると、セメントが深部まで充塡されず、接着強度の低下に繫がる(図5)。モノボンド エッチ&プライムで処理すると、マイルドにエッチングされるため、過エッチングになりにくい(図6)。

最後に
モノボンド エッチ&プライムの登場により、日本におけるガラスセラミックスの接着をより確実に行うことができるようになった。作業ステップの短縮、安全性、化学特性、コストのすべてにおいて、「臨床に役立つすぐれモノ」としてぜひお勧めしたい。
最後に、症例を2例供覧する(図7、8)。

松尾幸一
東京都・中野デンタルクリニック

デンタルダイヤモンド2016年5月号「臨床に役立つすぐれモノ」

 

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