Dental Tribune Japan

コロナウイルスによる将来の危機に備えるために、歯科医療は適応しなければならない

By Jeremy Booth, Dental Tribune International
April 28, 2021

エルサレム(パレスチナ):2020年5月、ヨルダン川西岸地区の歯科医師を対象に、新型コロナウイルスパンデミックによる診療所閉鎖後、日常的な歯科治療を再開する為の準備状況を調査しました。今年2月に発表された調査結果によると、パンデミックの際に発生した課題は、将来の危機に備えるために歯科医療が適応する必要があることを示しています。

エルサレムのアル=クドゥス大学、ラマッラーのパレスチナ保健省、米国アイオワシティのアイオワ大学の研究者が、ヨルダン川西岸地域で開業している歯科医師488名を対象に調査を行いました。参加者には、新型コロナウイルスに関するリスクの認識、選択的歯科治療を再開するための準備レベル、新型コロナウイルスが疑われる患者を治療する自信の度合いに関連する様々な要因について質問しました。また、パンデミック対応における自分の経済的安定性と役割についての参加者の認識についても調査しました。

回答者の6割近くが、歯科医院を再開するための準備ができていないと回答しました。新型コロナウイルス患者の治療については、約13%の回答者が「自信がない」と答え、約3分の2(64%)の回答者が「ほとんど自信がない」から「中程度の自信がある」と答えました。著者らは、感染管理に関する研修、または新型コロナウイルスに関連した特別な研修を受けた歯科医師は、より高いレベルの自信があると報告していることを発見しました。回答者の75%近くが、直面している経済的困難が非常に大きく、今月の支払いができないと答えました。

著者らは、参加者が選択的治療の提供を再開しなかった主な理由として、経済的要因と倫理的要因を挙げています。パレスチナの歯科医師は、パンデミック対策への支援を求められておらず、回答者の18%以上が支援の申し出を受け入れてもらえなかったと回答しています。約19%は、現地のパンデミック対策にボランティアとして参加したいと考えていたが、どのようにして参加すればよいかわからなかったと回答しています。回答者の大多数(89.7%)は、パンデミック対応における自分の役割は、患者に緊急の歯科治療を提供することと、新型コロナウイルスについて他の人々を教育すること(82.4%)であったと感じています。

「歯科医療の医学的モデルでは、歯科医師は健康に関する多くの医学的側面に精通している必要があります。このような能力があれば、歯科医師はパンデミックやその他の健康危機に必要な時、より積極的に、より自信を持って対応できるようになるでしょう。」-アル=クドゥス大学、Elham Kateeb博士より

「この研究から得られたデータは、緊急事態における民間歯科医院の脆弱性を浮き彫りにしています。新型コロナウイルス感染症で発生した倫理的、健康的、経済的な課題は、歯科医師が適応し、将来の危機に立ち向かうための準備を整える必要がある」と著者らは書いています。また今回の研究結果は、歯科医療が他の医療形態から切り離されて行われているという事実を浮き彫りにしたと述べています。今回の調査では、歯科医師がパンデミック対策に参加したことはほとんどなく、新型コロナウイルス及び新型コロナウイルス感染症に関する情報を得るために医療関係者と関わったことがあると答えたのは58%にとどまったといいます。

「歯科医療は伝統的に個人の健康や幸福を促進するのではなく、修復やリハビリテーションを中心とした治療を行ってきた為、歯科医師は大きな健康危機に対応したり十分に活用することができませんでした」と著者らは述べています。「将来的には、歯科医療を一次医療や専門医療とよりよく統合することが課題となるでしょう。このような統合により、口腔の健康が個人の健康全般の重要な一部として扱われ、無視されることはなくなるでしょう」と結論付けています。

本研究の筆頭著者であるアル=クドゥス大学歯科公衆衛生学准教授のElham Kateeb博士は、デンタルトリビューンインターナショナルに次のように語っています。「今回の調査対象となった歯科医師は、パンデミックにおける自分の主な役割を緊急歯科治療の提供者と見なしており、他の医療専門職の仲間と一緒に最前線で働く労働者としての役割はそれほど大きくありませんでした。これは単純に、大多数の教育機関では歯学教育が医学教育から完全に分離されているため、世界的な歯科医師の育成方法に起因するものだと思います。」

彼女はこう続けました。「現在のモデルでは、歯科医師は身体全体から切り離して歯を修復する能力を養成しています。リスク評価、病気の診断、予防、最小限の介入、人々の一般的な健康と幸福のための計画に口腔衛生の治療計画を統合することを扱う歯科医療の医学的モデルにはほとんど焦点が当てられていません。歯科医療の医学的モデルを教えるには、歯科医師が健康の多くの医学的側面に精通している必要があります。このような能力があれば、歯科医師は必要に応じてパンデミックやその他の健康危機の際に、より意欲的に、より自信を持って奉仕できるようになるでしょう。」

「様々な教育機関のカリキュラムを評価して、修復やリハビリのトレーニングにどれだけの比重が置かれているか、また、感染症の基礎知識やその他の健康の基本的な側面に加えて、病気の診断、健康増進、公衆衛生、全身と口腔の繋がり等にどれだけの比重が置かれているかを確認することは、非常に興味深いことです」とKateeb氏はコメントしています。

「新型コロナウイルスパンデミックの中、日常的なケアのために歯科医院を再開。パレスチナからの報告」と題されたこの研究は、インターナショナルデンタルジャーナルに掲載されるのに先立ち、2021年2月13日にオンラインで発表されました。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

© 2021 - All rights reserved - Dental Tribune International