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【オピニオンリーダーに聞く】グローバルな歯周病学会を目指し、海外の学会と連携、年次大会を開く

浦野 智  浦野歯科診療所 院長 日本臨床歯周病学会 理事長 (うらの・さとる) 1988年、大阪歯科大学卒業。1992年、医療法人貴和会歯科診療所勤務。1999年に大阪市で浦野歯科診療所開設。2013年、The Japan Institute for Advanced Dental Studies理事長。2014年、東京歯科大学歯周病学講座客員講師。2016年、東京医科歯科大学歯周病学講座非常勤講師。2017年4月より、日本臨床歯周病学会理事長を務める。
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木. 15 3月 2018

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日本の歯科臨床医を対象とした日本臨床歯周病学会は、今年で設立36年目を迎え、会員も約4,500名に増えました。同学会理事長である浦野智先生に、学会の活動内容や理事長としての思い、さらに今年の10月、バンクーバーで行われる、同学会や日本歯周病学会との共催による、第104回アメリカ歯周病学会(AAP)年次大会についてもお聞きしました。

AAPに参加した先人たちの思いからスタート

日本臨床歯周病学会は、1983年、「臨床歯周病談話会」としてスタートしました。当時は主に大学の教員らによる研究発表や情報交換の場であった「日本歯周病学会」はありましたが、臨床医はほとんどおらず、臨床に関する情報もありませんでした。

そのような中、日本の臨床歯周治療の先達である川崎仁先生、鈴木文雄先生、船越栄次先生らの、臨床医が主導する、臨床に満ち溢れた学会であるアメリカ歯周病学会への参加を契機に、ぜひ日本でもそのような学会をつくりたいという熱い思いから誕生したのが、「臨床歯周病談話会」です。その後、「日本臨床歯周病学会」と改称し、さらに「特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会」として法人格を取得するに至りました。

会員は日本を代表する著名な歯周治療の臨床医をはじめ、開業医や大学病院、総合病院の歯科医師、さらに歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手らのコ・デンタルスタッフで構成されています。

設立の原点である「会員が相互に膝を突き合わせて歯周治療についてディスカッションする」ことは、今も当学会の大切な理念であり、年次大会がその場として最も重要であると位置付けています。本年は広島での開催が予定されています。また、当学会は日本歯周病学会とも親密に交流し、学問と臨床の両面において協力関係を築いています。過去4回にわたり日本と協同して開催されたアメリカ歯周病学会においても、両学会が相互協力して盛大に開催され、多くの会員が研究や臨床を発表し、高い評価を受けています。

さらに、我々はグローバル化を目指し、アメリカ歯周病学会だけではなく台湾歯周病学会(TAP)とも強固な連携を結び、情報交換や学会への相互参加を積極的に行っています。

 

国民に向けた情報提供と、国民目線の認定医制度

私は2017年4月1日から理事長に就任しましたが、今後の目標として、今以上に年次大会を活性化させ、AAPやTAPだけでなく、世界の多くの学会と連携するグローバルな学会にしていきたいと考えています。

また、歯周病に対する国民への「啓発」とその「受け皿」として、会員のレベルアップを図らなければなりません。啓発については、国民に向けた情報提供として、書籍やリーフレットを発刊しました。今後もこうした形で、国民への情報提供や歯周病の予防と治療の重要性について、広くアピールしていきたいと思います。

会員のレベルアップに関しては、学会認定制度を見直し、整備していこうと考えています。現在、当学会では認定医・指導医、歯周インプラント認定医・指導医という資格を設けていますが、これらの資格の意味と内容を国民に正しく伝える必要があります。そして、その資格を有する医院を受診するとどのようなメリットがあるのかを、もっと広く知らしめる必要を感じています。もちろん認定医には、より高度な知識を得られる場を設けて、会員にもそのメリットを実感していただきたいと考えています。

 

他団体との連携を強化 日米加の4学会での共催

今年の第104回AAPの年次大会は、アメリカ歯周病学会、日本臨床歯周病学会、日本歯周病学会、カナダ歯周病学会の4学会共催により、10月にバンクーバーで開催される予定です。

これまで日本の歯科医師たちは、海外の学会に参加はしても、一方的に情報を得るだけでした。しかし今では、日本の歯科医師も海外の学会で研究発表を行い、議論を交わせるようになってきました。今回の大会でも、日本の多くの先生方が講演されます。

中でも、世界初の歯周組織再生薬「リグロス」を開発した大阪大学歯学部附属病院病院長の村上伸也先生をはじめ、鈴木真名先生、藤本浩平先生、高井康博先生など、最先端の歯周治療を行い、世界レベルで活躍する先生方の講演も聞くことができます。また講演後には、大会期間中、さまざまな懇親会が開かれているので、こうした著名な先生方と身近にお話しできるよい機会になります。

現在はインターネットを通じて、世界中の情報がすぐに手に入る状況です。しかし、その溢れる情報の中から何を選び、どう臨床に生かすか、その能力が問われています。こういう時代だからこそ、世界レベルの先生方の話を聞いて、肌で感じてほしいと思います。そして、海外から日本の歯科医療を見ていただきたいと思います。

ぜひ多くの方にこの大会に参加していただき、知識を深めるとともに、さまざまなパーティーやセッションなどで交流を深めましょう。

また、日本臨床歯周病学会と日本歯周病学会主催によるポスターセッションも設けており、ポスターによる研究発表も受け付けています。登録に関しては学会のサポートもありますので、躊躇することなく日頃の臨床の成果をぜひ、発表してください。さらに、渡航や日本語サポートを含めたツアー企画もありますので、積極的にご参加いただけることを期待しています。

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