DT News - Japan - 相対するインプラント同士の角度が急な場合の印象採得法

Search Dental Tribune

相対するインプラント同士の角度が急な場合の印象採得法

初回検査時のパノラマX線像。インプラントの埋入角度と下歯槽神経に近接していることに注目。(写真提供:Gregory-George Zafiropoulos教授およびDr. Oliver Hoffmann、ドイツ)
Profs. Gregory-George Zafiropoulos & Oliver Hoffmann, Germany

Profs. Gregory-George Zafiropoulos & Oliver Hoffmann, Germany

火. 12 7月 2016

保存する

本症例報告では、相対するインプラント同士の角度が急な場合の印象採得を可能にする新たな方法を示します。部分欠損または全歯欠損の患者の再建にインプラントを使用することは、一般的な治療法となっています。インプラント埋入術式およびインプラント補綴装置の改良によって、症例の大多数で機能的かつ審美的に満足のいく治療成績が得られています。[1, 2] しかし、インプラントが誤った角度で埋入されていたり、または隣在歯に近接し過ぎて埋入されている場合もあります。発症頻度はまれですが、このような状況では印象採得を行うことや、結果として、インプラント補綴修復を行うことが難しくなります。[3,4]本症例報告は、このような状況でも治療を可能にする方法を示すものです。

症例報告

60歳の男性患者が、他院にて3カ月前に下顎右側第一、第二大臼歯に埋入した2本のインプラントの修復のため当院を受診しました(図1)。

以前に治療を行った歯科医から得た記録によれば、インプラント埋入時、サージカルガイドは未使用でした。

下顎右側第一大臼歯部インプラントが、不適切な角度で埋入されていました。そのために、2つのインプレッションポストの同時装着ができず、印象採得が不可能でした(図2)。

また、インプラントが下歯槽神経に近接して埋入されているため、骨結合しているインプラントを抜去することは得策ではありませんでした。

この問題を解決するため、以下の手法を用いました。

下顎右側第二大臼歯部インプラントは、わずかに近心に傾いている状態でした。したがって、対応する印象用コーピングと共に既製のインプレッションポストを装着が可能であった。(図3)。

  • さまざまな既製のアングルアバットメントを、下顎右側第一大臼歯部インプラントに試してみました。下顎右側第二大臼歯部インプラントのインプレッションポストに幾分平行になるため、角度25°のアバットメントを選択しました(図3および4)。
  • 選択したアバットメントをスキャンし、印象用コーピングをCAD/CAM法を用いて非貴金属(コバルト-クロム合金、Zenotec NP、Wieland Dental社製)で製作しました(図5)。コーピングはレジン(PATTERN RESIN、GC社製)の薄い層で覆い、保持力を増すために小型の回転楕円体を上部と唇側と舌側に形作りました(図6)。
  • インプレッションポストはコーピングと共に下顎第二大臼歯部インプラントに装着しました。25°のアングルアバットメントは、コーピングと共にインプレッションポストとして機能し、下顎第一大臼歯部インプラントに装着しました(図7)。
  • ポリエーテル印象材(Impregum、3M ESPE社製;図8)を用いて、印象採得を行いました。
  • 2つのカスタムアバットメントおよび2つの別個のメタルセラミッククラウンを製作しました(図9および10)。
  • アバットメントをカスタムジグキーを用いてインプラントに設置し、35 Ncmトルクをかけました。(図11)。次にクラウンを仮着用セメントでアバットメントにセメント固定しました(図12および13)。

 

To post a reply please login or register
advertisement
advertisement