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喫煙、飲酒、遺伝が充填物に与える影響

米国およびブラジル発の新たな研究で、遺伝が充填の成功に関与する可能性が認められ、歯科での個別化治療の進展が転帰を改善させる可能性が示唆された(写真:Julian Chen/Shutterstock社)

ピッツバーグ(米国):歯科学においては長らく充填材が関心の高い話題であったが、そこに米国およびブラジル発の新たな研究が議論の対象に加わった。この研究では、喫煙や飲酒だけでなく、患者の遺伝が充填の成功にマイナスの影響を与える可能性が示され、歯科での個別化治療が転帰を改善させる可能性が示唆された。

米国ピッツバーグ大学歯学部とブラジルのペルナンブーコ大学歯学部の研究者らは、ピッツバーグ大学の歯科医学データベースおよびバイオバンク(人間のDNAのデータベース)から、患者と充填に関する情報を含む多数の歯科記録を調べ、最長で修復治療後5年間の不成功率を調査した。この記録には、喫煙や飲酒の習慣を含む患者のライフスタイルや、各患者から採取したDNAサンプルに関する情報も含まれ、研究チームは患者のライフスタイルや遺伝的要因によるコンポジット充填の不成功率への影響の有無を調査した。

研究チームは、治療後2年以内の充填不成功率は、飲酒者で高く、総合的な充填不成功率は喫煙男性で高くなることを見出した。さらに、歯の中に認められる酵素のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP2)の遺伝子の違いが、充填不成功の増加と関係していた。そこで研究者らは、MMP2が充填材と歯の表面の間の接着材を分解することができ、これにより不成功に至っているのではないかと仮定した。しかし研究者らによると、何らかの確定的な結論を得るにはさらなる調査が必要とのことだった。

アマルガム充填かコンポジット充填材かという議論が興味深い転換期にあるが、充填不成功率という点では、患者にどちらの材料を使っても重大な差がないことが分かった。研究者らは、これはコンポジット充填材が少なくともアマルガム充填と同程度の耐久性を有し、毒性成分を一切含まない実施可能な代替材料であることを意味するものだと示唆した。

「歯科疾患に対する個人の感受性と治療転帰のばらつきをより深く理解できれば、歯科領域を前進させられるでしょう」と筆頭著者のAlexandre Vieira教授(ピッツバーグ大学歯学部口腔生物学講座)は語る。「将来的には、遺伝情報を用いて歯科での個別化治療を実践し、治療転帰を向上させることができるでしょう」。

この研究は、「歯科コンポジット充填の不成功は遺伝で決まることが実際的研究(pragmatic study)で判明した:歯科用アマルガムに関する議論に貢献する」のタイトルで、オープンアクセスジャーナル(無料歯学研究論文誌)Frontiers in Medicine誌上に発表された。

出典:News Americas 2017/11/10

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