Dental Tribune Japan

スクリューリテイン式上部構造の製作コストを大幅に削減!!

By Dental Tribune Japan
November 29, 2016

本稿では、コバルトクロム合金(Cobalt-Chromium Alloy:以下、Co-Cr合金)シリンダーを使用し、Co-Cr合金フレーム(frameworks:以下、Fr)で製作されたインプラント支持固定性部分義歯(Implant-Supported Fixed Partial Denture:以下、IS-FPD)について、その特性と臨床応用を簡潔に紹介する。また、Titaniumを「Ti」、Zirconiaを「Zr」、そしてBrånemark Implant Systemを「Bmk」と表記する。

Co-CrシリンダーとCo-Cr合金Frの材料特性
Co-CrシリンダーとCo-Cr合金FrのIS-FPDへの応用が紹介されている1)。初期Bmkに使用されていたCo-Cr合金のFr、その後のタイプ3金合金のFrも、インプラントアバットメントとスクリューでの結合部であるシリンダーには、金合金製のシリンダーが使われていた。
その後、バーンアウトの鋳造シリンダーに変わっていったが、Co-Cr鋳造シリンダーはその適合の悪さから再びゴールドシリンダーとの接合に戻っているようである。近年ではレーザー溶接で接合が行われてきた2)。いずれにせよ、ゴールドスタンダードは長い間ゴールドシリンダーであったようである3)。 CAD/CAMなどの技術的発展により最近ではTi製、Zr製シリンダーが主流になっているようだが、Co-Cr合金のCAD/CAMによるIS-FPD-Frの製作も行われている。
本稿で紹介するシリンダーのユニークな点は、ゴールドやTi製でなく、従来にはなかったCo-Cr合金製ということである。しかも、鋳造では望まれる品質の均質性が得にくいため4)、従来では困難とされてきたRawのCo-Cr合金から人によるマシーニング(Machining)削り出しによって製作されている(図1)。Co-Cr合金であるダン・コバルトボンド(日本歯科金属)インゴッドを鋳造欠陥のないOCCプロセス棒と呼ばれる直径7mmの状態にしてからマシーニングされている5,6)。このマシーニングによってシリンダー本来の機械的強度が保たれていると考えられる。また、Co-Cr合金Fr+Co-Crシリンダーとの組み合わせで、すべてのフレーム製作(Co-Cr合金FrとCo-Crシリンダーとの鋳接)が可能になったことも特筆すべき点である。Co-Cr合金製IS-FPDの利点は、低価格、生体適合性、腐食に対する抵抗性、鋳造性、重量(比較的軽い)、そして硬さである(図2)1-3,7,8)
図2をみると、耐力0.2%という項目において6Al−4V Tiがトップであり、ヤング率ではダン・コバルトボンドがトップである。耐力とは0.2%変形させるのに必要な力であり、ヤング率とはたわませるのに必要な力である。つまり、6Al−4V Tiを変形させるには、少ない力で始めて0.2%変形させるのに825MPaかかるということになり、非常に弾力があることがうかがえる。IS-FPDに必要とされる機械的性質において、Co-Cr合金はTi、Ti合金、タイプ3金合金に負けていない。

Co-CrシリンダーとCo-Cr合金Frを使用したIS-FPDの製作の実際
製作過程から完成まで、図3〜8に解説する。

Co-Cr合金製IS-FPDの臨床応用
2012年7月から2015年1月までに、Co-CrシリンダーとCo-Cr合金製Frを使用したIS-FPD(装着後1年6ヵ月以上経過)は、23症例を数える。他にも現在では、Ti-Ceramic、Ti-Hybrid、Zr-Ceramic製のIS-FPD、過去に10年以上経過したタイプ3金合金IS-FPDも並行して経過観察している。23症例中セラミック14症例(60.9%)、ハイブリッド9症例(39.1%)であった。セラミック14症例中2症例に陶材の小さなチッピング(14.3%)がみられたが、装着したままの研磨で対応可能であった。ハイブリッドでのトラブルはない(0%)。
筆者の経験的感触では、とくにポーセレンとの相性がタイプ3金合金に並ぶのではないかと考えている。感触どおりポーセレンとの相性がタイプ3金合金に並ぶとしたら、審美的IS-FPD製作に関してCo-Crシリンダーの出現は、従来の鋳造法ながら新たな選択肢として加わることが期待される。

謝辞
当論文執筆にあたりCo-Crシリンダーの開発者であり、惜しみない資料提供を快諾いただいたN−implant logic(〒583-0846 大阪府羽曳野市東阪田465)代表取締役 歯科技工士 中矢敦三氏、また日本歯科金属株式会社、株式会社インプラテックスに深く感謝いたします。

【参考文献】
1)Kato S:mplant prosthesis with cobalt-chromium cylinder. Practice in prosthodontics(in Japanese), 49 : 467-468, 2016.
2)Teigen K, Jokstad A:Dental implant suprastructures using cobalt-chromium alloy compared with gold alloy framework veneered with ceramic or acrylic resion: a retrospective cohort study up to 18 years. Clin Oral Implants Res, 853-860, 2012.
3)Nilsson U, Murakami I:Personal communication in lecture meeting for Japanese Academy of Osseointegration at Nagoya. 19th November. 2000.
4)Kano S, Binon PP, Bonfante G, Curtis DA:The effect of casing procedures on rotational misfit in castable abutments. Int J Oral Maxxilofac Implants, 22 : 575-579, 2007.
5)Yamazaki H, Ohno A, Motoyasu G, Shimizu T, Soda H:Casting of stellite welding rod by the vertical occ process (in Japanese). J Japan Inst Metals, 57 : 190-194, 1993.
6)Ohno A:The Ohno continuous casting process and its application to near-net shape casting proc. Int. symp. on casting of net and near-net shape products. Eds: Sahai et al., The Metallurginal Society, USA. 177-184, 1988.
7)Hunlterstrom M, Nilsson U:Cobalt-chromium as a framework material in implant-supported fixed prostheses: a preliminary report. Int J Oral Maxillofac Implants, 6 : 475-480, 1991.
8)Hunlterstrom M, Nilsson U:Cobalt-chromium as a framework material in implant-supported fixed prostheses: a 3-year follow-up. Int J Oral Maxillofac Implants, 9 : 449-454, 1994.

加藤 哲
大阪府・医療法人明新会 かとう歯科医院 インプラントセンター

デンタルダイヤモンド2016年10月号「臨床に役立つすぐれモノ」

 

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